高圧洗浄機で自宅の駐車場に生えた黒カビを削って、アートを生み出す高校生がいる。沖縄県名護市幸喜に住む大城晟来(せら)さん(18)=北部農林高3年=だ。年末年始、作業を続けること4日間、アニメ「モンスターストライク」のキャラクター「ビナー」が縦約5メートル、横約3メートルにわたって浮かび上がった。3分の2ほど完成し、学校が始まってからは合間を見て制作を続ける。(北部報道部・當銘悠)

大城晟来さんが地面に描いたアニメ「モンスターストライク」のキャラクター

高圧洗浄機でアニメ「モンスターストライク」のキャラクターを描く大城晟来さん=2日、名護市幸喜

大城晟来さんとアニメ「鬼灯の冷徹」のキャラクター

大城晟来さんが地面に描いたアニメ「モンスターストライク」のキャラクター 高圧洗浄機でアニメ「モンスターストライク」のキャラクターを描く大城晟来さん=2日、名護市幸喜 大城晟来さんとアニメ「鬼灯の冷徹」のキャラクター

 晟来さんにとって、黒カビが覆って黒くなった地面がキャンバスだ。黒い線を残すことを意識しながら、版画と同じ要領でその周りを高圧洗浄機で削って白くしていく。スマートフォンの画面でキャラクターのイラストを見ながら細部を削る。色を付けたい部分は、水圧を弱めて灰色にするなど工夫を凝らす。「描き始めたらやめられない」。正月2日は4~5時間、ほぼ休憩なしで描き続けた。

 小学低学年の頃、祖母の澄子さん(71)が誕生日プレゼントに欲しいものを尋ねると「スケッチブック」と答えるほど、アニメや絵を描くのが好き。高圧洗浄機で描くようになったのは小学生の頃、年末の大掃除がきっかけだ。父卓也さん(48)から洗浄機を使って駐車場のカビを掃除をするように頼まれ、「地面にも絵が描ける」と気付いたという。

 以前は黒い面に白い線で絵を描いていたが、中学生の頃に周りを白く削って黒い線を残す現在の方法を思い付いた。最初は約2メートル四方の「ジバニャン」の顔から始まり、黒カビが生える度に描いてきた作品は10作品以上。「いったん削ってしまうと元に戻せない。昔に比べて線が切れなくなった」と笑顔を見せる。

 そんな晟来さんの夢は、動物園の飼育員など動物と関わる仕事に就くこと。「絵は趣味で続けていきたい」と語る。卓也さんは「飼育員をやっていくのなら、そこでもこの才能を生かせたら」と目を細めた。