県内で私立中高校の入試が始まり、県立高校はきょうから推薦入試の願書を受け付ける。受験生にとって正念場の季節を迎えた

▼重度の知的障がいがある仲村伊織さん(17)=北中城村=は3度目の県立高校受験に挑む。父晃さん(53)と母美和さん(51)は「地域や同世代の仲間とつながりながら生きてほしい」と願い、小中学校は地元の普通校を選んだ。9年間で実感したのは、「化学反応」による本人と周囲の成長だと語る

▼小4に上がる前の教職員離任式。上級生に代わって体育館まで伊織さんを抱えて連れていった同級生がさらりと促す。「えー、もう高学年になるんだから抱っこはきょうまでな」。その日、クラスの列に並ぶことができた

▼義務教育を終え、伊織さんが「大きい学校行く」と高校を目指したのは、ごく自然な流れだった。結果は、定員に空きがあっても2度とも不合格。県教育庁は、高校では重度知的障がいの生徒の特性に応じた教育課程を提供できないとする

▼一方で大阪府では、定員内不合格を出さない方針で重度の生徒を受け入れている。門前払いを決めるより、どんなサポートがあれば可能なのか先進事例に学ぶのが先だ

▼「未知の世界の扉を開いてきたのは伊織自身」と晃さん。障がいの有無にかかわらず共に学ぶ教室が共生社会への一歩だと信じ、春を待つ。(大門雅子)