終息に向かうかにみえた豚コレラ(CSF)の感染がまた発生した。県は15日、うるま市の養豚場で県内4例目となる豚コレラの感染を確認したと発表した。同養豚場の1825頭を殺処分する。

 豚コレラはうるま、沖縄両市の7養豚場に拡大した。6養豚場では7326頭の殺処分と埋却が完了している。

 玉城デニー知事は同日、国や市町村、有識者、生産者団体でつくる「県CSF防疫対策関係者会議」を設立した。会議を早急に招集してもらいたい。不安を抱える生産農家とコミュニケーションを密にしワクチンのメリット、デメリットを検討した上で合意形成を急がなければならない。

 JAおきなわ、県養豚振興協議会など養豚関係4団体は県や江藤拓農林水産相にワクチン接種などを要請した。

 県は本島全体の養豚場に消石灰による消毒命令を出し、野生イノシシの感染を調査。感染源や感染経路の解明と、拡大防止を最優先している。

 当初、初期の発生地から半径3キロ圏内(移動制限区域内)で未確認だった養豚場の検査は全て「陰性」だった。しかし、1養豚場の豚が14日に死んでいるとの通報を受けて改めて検査し感染が確認されたという。最初に感染した養豚場から約100メートルしか離れておらず警戒していた。封じ込めの難しさが示された形だ。

 県は現在半径10キロ圏内(搬出制限区域)の他の44養豚場の検査結果を待っている。

 まん延する可能性が高いと判断できれば、ちゅうちょすることなく、ワクチン接種に踏み切るべきだ。

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 養豚関係4団体の要請は、沖縄固有の在来種「沖縄アグー豚」の繁殖を担う原種保存も大きな柱だ。殺処分された一部養豚場にはブランドとして人気が高いアグーが含まれている。

 国と県は本島全域に広がった場合に備え、離島への一部隔離を検討しているという。

 宮崎県で家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の感染が広がった2010年、「宮崎牛」ブランドの種雄牛6頭を区域外に緊急避難させたことがある。

 ただ県の担当者は「今後、避難の状況があれば検討したい」などと述べるにとどまっている。もっと危機意識を高め、最悪の事態を想定して万全を期さなければならない。

 離島への隔離移転は、養豚農家から管理態勢などを不安視する声もある。移動に伴う感染リスクもある。隔離移転は困難を伴うが、準備しておくことは重要だ。

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 中国や韓国、ベトナムなどアジアで猛威を振るっているアフリカ豚コレラ(ASF)にも警戒が必要だ。人に感染しないものの、致死率は100%に近いとされ、有効なワクチンや治療法がない。

 昨年9月に県の対策会議で、海外から持ち込まれたソーセージやジャーキーなどからASFのウイルスが国内で70件確認され、うち10件が沖縄だった。ウイルス侵入を許せばより深刻な事態となる。

 春節(旧正月)休みに入る今月24日から中国からも多くの観光客が訪れるであろう。検疫をはじめ水際対策を徹底しなければならない。