現場の意見を軽視した制度設計や、受験生を混乱させた土壇場での見送りなど、失策の経緯を徹底的に検証すべきだ。

 大学入学共通テストの目玉だった英語民間検定試験と記述式問題の導入見送りを受け、入試改革を話し合う文部科学省の検討会議が始まった。

 会議冒頭、萩生田光一文科相は、英語の「読む・聞く・書く・話す」の4技能の測定は重要だとし、2024年度をめどに英語入試を見直す考えを重ねて表明した。民間試験活用の是非も含めて議論し、年末までに結論を出すという。

 改革の柱とされた民間検定は、試験会場の都市部集中や高額な受験料などから、地域格差、経済格差を広げるとの問題点が指摘され、昨年11月に見送りが決まった経緯がある。

 その後、公表された会議の議事概要で明らかになったのは、16年時点で地域格差を懸念する声が上がっていたことだ。現場や専門家の再三にわたる指摘は反映されず、産業界の意向や政治の力を背景に、実施ありきで進められた政策だったことがうかがえる。

 公平性や公正さにあれだけ疑問が噴き出した民間試験の活用については、既に答えが出ている。

 強引な進め方が失策につながったことを反省するのなら、年末までと期限を切ってしまうのも乱暴である。

 さらに「話す」を中心とした使える英語についても、必要とされる力は学部や学科によって大きく異なることから、共通試験になじむのか再考が必要だ。

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 大学入試センター試験が、きょう、あすの2日間、県内を含む全国各地の会場で実施される。

 来年から共通テストに衣替えするため、1990年から続いてきたセンター試験は、今回が最後となる。

 55万人余りが志願する巨大テストだが、今年の受験生は難関校を敬遠する傾向が目立つという。入試が大きく変わることを前提に、浪人を避けたいとの考えが強まったためだ。

 中には安全策として合格が見込みやすい大学に志望校を変えた生徒もいる。見送り決定がもっと早ければ、違った進路選択もあったのかもしれない。

 受験生に不安を与え、教育現場を混乱させた責任の所在は、はっきりさせなければならない。

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 2019年度の学校基本調査で、沖縄の大学等進学率は39・6%で全国最下位だった。全国平均との差が15ポイントにも及ぶ進学格差の背景に、家庭の経済事情や離島県のハンディがあることは以前から指摘されている。

 民間試験を巡っては、居住地域や経済状況によって受験機会に格差が生まれるという反発が強かったが、もっと幅広い視点で受験機会の公平性という課題についても向き合う必要があるのではないか。

 不利な条件に置かれた受験生の声にも耳を傾け、ボトムアップ型の改革を進めるべきだ。