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日本、米軍の特権見直しを要望 米側はほとんど拒否 60年前の地位協定締結時  

2020年1月19日 05:00

 日米両政府が1960年に日米地位協定に調印する交渉過程で、米軍の特権的な地位を見直す57項目の要求を日本の外務省が文書にまとめ、米側に提示していたことが18日までに分かった。秘密指定が解除された外交文書に含まれており、当時は極秘扱いされていた。日本側は実質的な主権回復を目指して在日米軍基地の運用への関与や、基地返還時に米側が原状回復する義務などを求めたが、米側が大部分を拒否。受け入れられた項目は少なく、不平等性が指摘される現在の地位協定につながった。

日章旗(左)と星条旗 (資料写真)

日本政府が米政府に提示した行政協定改定問題点の1ページ目。「極秘」と印が押されている。

日章旗(左)と星条旗 (資料写真) 日本政府が米政府に提示した行政協定改定問題点の1ページ目。「極秘」と印が押されている。

 地位協定は調印から、19日で60年を迎える。

 文書は57項目のうち、米軍施設・区域の管理権を定める3条を巡り「両政府の合意により定める条件で使用する権利と改めるべし」と要望。施設・区域外の管理権を「米軍の権利としない」などと具体的に言及し、基地の運用に日本政府が関与できるよう地位協定への明記を求めた。

 4条関連では米軍施設や区域を返還する際の原状回復と補償の義務を米軍が負うこと、5条関連では民間の港や空港の使用には入港料、着陸料を課すことなどを求めていた。

 前身の日米行政協定が、占領時代と変わらないほど米軍優位の内容だったことから、国内で高まっていた抜本的な改定を求める声を反映しているといえる。ただ、これらの要求は、いずれも実現しなかった。

 日本側が文書作成に踏み切った理由は、行政協定の改定交渉で、米側の担当者だったマッカーサー在日米大使が日本側の考えを全て示すよう求めたため。外務省が59年1月から2月初旬にかけて各省庁から聞き取り「行政協定改定問題点」として整理した。

 同年3月に藤山愛一郎外相がマッカーサー氏に手交。外務省の資料では、米側は「極めて消極的かつ強硬な反応」を示した。

 日本政府が「主権回復」に取り組んだ一端がうかがえる一方、米軍の既得権益を維持したい米側が難色を示し、結果的に不平等な状態が残った。その後60年間、地位協定改定は実現していない。

 地位協定の問題を調査、分析してきたジャーナリストの吉田敏浩さん(62)は「各省庁から、米軍優位の不平等な関係を改めるべし、との声が挙がっていた史実は重要だ。この歴史に学び、現政府は真の主権回復に向けた問題意識と気概を奮い起こしてほしい」と話した。

 
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