政治家としてのモラルの崩壊を危惧する。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業の汚職事件を巡り、贈賄の疑いが持たれている中国企業側から現金100万円を受領したことを認めた元郵政民営化担当相の下地幹郎衆院議員(58)=比例九州=が18日夜、議員辞職をせず、無所属で活動を続けることを明らかにした。

 300人を超える後援会関係者との会合後、那覇市の事務所で「いばらの道だが、23年間培った力を発信してくれ、との後援会の声に応えていく決断をした」と語った。

 下地氏は辞職しない理由として後援会の声を第1に挙げた。しかしけじめをつけないままの議員活動に一般有権者の理解が得られるかどうかははなはだ疑問だ。

 IRに関する贈収賄の可能性についても弁護団が分析したと説明。贈収賄にはならないと判断したことも「重く受け止めて」辞めない第2の理由として挙げた。

 下地氏は先の衆院選で沖縄1区の小選挙区で敗れ、比例復活で当選している。

 維新の枠にかろうじて滑り込んだことを考えれば、無所属で政治活動することに正当性が見いだせない。もはや下地氏の政治生命は消えたとみるべきである。

 下地氏は日本維新の会に離党届を提出したが、維新は受理せず、最も重い処分の「除名」とした。同時に議員辞職も勧告した。

 無所属で議員活動を続けるのは、やはり筋が通らないと言わざるを得ない。

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 下地氏には説明責任が残っている。6日の会見で腑(ふ)に落ちないことがあるからだ。

 100万円の大金を受け取りながら、中国企業側の元顧問の容疑者が強く固辞したため、職員は領収書を発行しなかったという。発行しなければヤミ献金になる。なぜ発行しなかったのだろうか。

 職員は当日に報告したというが、下地氏は「思い出せない」と釈明している。100万円を受け取ったという職員の報告を忘れることがあるだろうか。にわかに信じ難いが、いずれにしても職員の監督責任は免れない。

 現金を手渡した容疑者と計3回、経営トップとも会っている。容疑者が中国企業側の顧問を務めていたことも把握していたという。政治資金規正法は外国人や外国法人からの寄付を禁止するが、個人として受け取ったと主張するのも不可解だ。出どころは考えなかったのだろうか。

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 下地氏は2017年分の政治資金収支報告書を訂正した。修正したとしても、ヤミ献金を受け取っていた政治的・道義的責任は消えない。

 当時、超党派の議員の「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」の副会長を務めていた。「便宜供与はしていない」と政府機関への働き掛けなどは重ねて否定した。

 IR汚職事件で容疑者の供述がなければ100万円はヤミ献金として受け取っていたはずである。規正法を骨抜きにし、政治不信を深めた責任は重い。議員辞職してけじめをつけ、来る衆院選で有権者の審判を仰ぐべきだった。