大宜味村謝名城の共同売店が再開して約1年半がたつ。店主を務めるのは、那覇市の金城明美さん(71)。「生まれ故郷への恩返し」と、自宅から往復約二百キロを週5日通う。閉店していた時期、お年寄りたちは隣の地域の売店や移動販売に頼るしかなかったが、今は謝名城の中心に位置する売店で生活必需品はほぼそろう。地域に活気が戻ってきた。(中部報道部・勝浦大輔)

往復約200キロ通って売店を続ける金城明美さん(中央)と、ボランティアで手伝う区民=8日、大宜味村謝名城

 共同売店はたびたび開閉店を繰り返してきた。最後に閉店したのは、NPO法人が運営していた2017年8月。その後、なり手がいない中、金城さんが店主を引き受け、18年7月に再オープンした。

 金城さんの朝は早い。午前3時起床、4時には家を出て、のうれんプラザに総菜などを買い出しに行く。そのまま北上し、8時ごろには大宜味の売店に到着。住民から要望のある品もそろえる。「地域密着の生活支援。商売だと成り立たないよ」と笑う。

 30坪ほどの店内は半分が売店、半分はテーブルやいす、キッズスペースがあるフリースペースで、区民の憩いの場になっている。平良光明さん(73)は測定器で血圧を測りながら「模合で使う時もあるよ。3個限定の湯豆腐は毎朝食べてる」と常連の口ぶりだ。

 両親の出身地、謝名城で金城さんは生まれた。生後半年ほどで一家は那覇に移住したが「古里を忘れてはいけない」という父の思いもあり、本籍は移さず、ことあるごとに謝名城に帰っていたという。

 「謝名城は自分のルーツ」。揺るぎない思いをさらに強くしたのは、2015年ごろに謝名城で執り行われた父の葬儀でのこと。集落で生活した経験はなく、戸惑うことが多い中、区民は車の誘導や会場作りなどを率先して手伝ってくれた。「ゆいまーる精神の残る、本当にいい所」。恩返しをしたい、と心から思った。

 売店を開けるのは午前7時~午後1時と、午後4~7時。朝と夕それぞれに店員が1人ずつ店番し、朝は金城さんも加わる。さらに、ボランティアで助っ人を買って出てくれる区民も。仕事の合間に手伝いに訪れる金城光代さん(55)は「安く仕入れるように工夫もしてるよ」、平良広美さん(56)は「オーナーの気持ちがみんなうれしい。ちょっとでも協力したい」と頼もしい。「何も分からない私に、みんなが教えてくれる。みんなでやっているお店」と金城さん。ゆくゆくは区民に店主を引き継ぐ考えといい、「元気なうちは私もバックアップする」と笑顔で話した。