ニューイヤーに箱根、都道府県対抗と続いた駅伝では、つい選手の足元に目がいった。ナイキ社が開発したピンクの厚底シューズを履く選手がなんと多いこと

▼記録も驚異的で、ニューイヤーで4連覇した旭化成は7区間中5人が着用し、従来のタイムを3分以上縮めた。箱根では全10区間の区間賞のうち9人が履いた。陸上長距離界を席巻する厚底は、軽いのにクッション性と反発力を両立させたのが売りという

▼元実業団で先月のNAHAマラソンを制した濱崎達規選手も愛用する。「脚が前に進んでいく」履き心地。疲れがたまりにくく、きつい練習を数多くこなせる利点もあると語る

▼そんな技術の粋を集めたシューズに「待った」がかかるかもしれない。世界陸連が禁止を検討と英メディアが報じた。思いだすのは2008年の北京五輪で世界記録ラッシュを生み、後に禁止となった高速水着を巡る騒動

▼当時議論が過熱し、北島康介選手が「泳ぐのは僕だ」と書かれたTシャツを着て、主役は選手だと訴えた。技術革新のスピードに規定が追いつかず、選手が混乱する構図は今回と似る

▼「シューズは選手が持つ力以上のものを引き出すわけではない」と濱崎さん。選手の努力をわきに置き、厚底ばかりが注目される状況を収束させるためにも、世界陸連は早急に見解を示す必要がある。(大門雅子)