中国の武漢市から始まった新型コロナウイルス感染が急拡大している。

 22日夕方までに肺炎発症者は400人を超え、9人が死亡した。発症者は日本やマカオの他、米国でも確認されている。アジア以外からの報告は初めてのことだ。

 コロナウイルスは、風邪や肺炎を引き起こす病原体だ。

 中国政府は、新型肺炎を伝染病に関する法律に基づき、2003年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と同じ警戒レベルに引き上げた。医療従事者の感染が起きていることも明らかにし、拡大の危険があると警戒を呼び掛けている。

 世界保健機関(WHO)も新型肺炎が広がる事態を重く見て、専門家による緊急会合を開いた。

 現時点ではSARSなどに比べ感染力は低く、重症化しにくいとの見方が強いが、ウイルスは変異する可能性がある。WHOは「持続的な人から人への感染があるとみられる」と発表しており、にわかに緊張が高まった。

 患者の多くは武漢市の海鮮市場に出入りしていた。市場で扱っていた野生動物からの感染が疑われている。他方、日本で初確認された患者のように、武漢市に滞在したが、市場に行っていない人への感染も確認されている。

 感染源や感染ルートの解明が急がれる。

 SARS流行の時にも見られたが、中国政府は患者数が拡大するまで、情報公開に消極的だった。正確な情報発信による国際社会との情報共有は感染拡大防止の必須条件だ。

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 25日の旧正月をはさんで間もなく春節の大型連休が始まる。中国では帰省や旅行で延べ30億人が移動するという。

 SARSの感染が春節の時期に広がったことは心に留めておくとしても、過剰な反応は禁物だ。

 日本政府は、対応として検疫所での水際対策や患者把握の徹底と国民への迅速で的確な情報提供などを決めた。

 空港などの検疫所ではサーモグラフィーで体温を検知し、発熱患者の発見に努める。国内初の患者となった男性のように、解熱剤によって監視をすり抜けるケースもあり、完全に阻止することは難しい。感染地域からの渡航者はもちろんだが、体調が優れない人には、検疫所で申し出てもらいたい。

 多言語による呼び掛けや感染が疑われる入国者への医療機関の対応など、万全の対応が必要だ。

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 春節の大型連休で沖縄を訪れる観光客も多いだろう。

 厚生労働省は、国民にマスク着用などの咳(せき)エチケットや手洗いといった通常の感染対策を呼び掛けている。

 必要以上に恐れず、冷静な対応が重要だ。

 特に大勢と接する観光関連業の人たちには、マスクなどの対策を徹底してもらいたい。発熱や咳の症状が見られる観光客に速やかに医療機関の受診を勧めるよう宿泊施設などへの周知も求められる。

 観光客を遠ざけるのではなく、予防を確実に行い、感染拡大を食い止めよう。