クリント・イーストウッド監督90歳。彼の創作意欲は怒りで構成されているようだ。人の役に立ちたいと望み、時には融通の利かないルールブックのようだと揶揄(やゆ)されながらも、懸命に自分の仕事を全うした男がある日、爆弾事件の容疑者としてFBIやメディアによって追い込まれて行く。

リチャード・ジュエル・スクリーンガイド

 爆弾を見つけたヒーローだったのはずの男は、有名になったばかりに過去の小さな出来事が次々に暴露され、世間がメディアに洗脳されてゆく。

 プロファイリングとは聞こえがいいが、統計と心理学は絶対とばかりに、確たる証拠もないまま男と母親が追い詰められていく様はホラー映画より恐ろしい。

 自分の頭で考える事をものぐさがる昨今。寄ってたかって追い詰める人の群れに自分の影を見たような気がして身震いする。

(スターシアターズ・榮慶子)

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