社説

社説[文化財防火デー]よりどころ守るために

2020年1月26日 08:34

 きょう1月26日は「文化財防火デー」だ。

 首里城火災の衝撃はいまだ大きく、悲しみは癒えないが、「心のよりどころ」を守るために、何が必要だったのか。あらためて防火の在り方と文化財を継承する責務について考えたい。

 昨年10月31日未明に発生した火災は、正殿をはじめ主要6棟を焼き尽くし、約400点もの美術工芸品も被害にあった。

 消防の調査によると、火元は正殿北東側とされ、電気系統の不具合の可能性が高いという。ただ燃え方が激しく「特定は非常に困難」とみられている。

 私たちは火災直後の社説で、県がまず取り組まなければならないのは有識者による検証委員会の設置だと提起した。「なぜ守れなかったのか」を冷静かつ徹底的に議論し、そこでまとまった報告書を再建への一歩とすべきと主張したのだ。その考えは今も変わっていない。 

 後日分かったのは、初期消火のための放水銃1基が使えなかったことや、夜間を想定した訓練が行われていなかったことなどである。

 仮にスプリンクラーが設置されていたら、被害を抑えることができたのかもしれない。

 昨年末、県は首里城復興に向け7項目からなる基本的考えを発表した。「火災の原因究明」も1項目とするものの、作業が具体的にどう進んでいるのかは見えてこない。

 再建への急テンポな動きに比べ、備えは十分だったのかを問う声が少ないのは気になるところだ。

■    ■

 文化財の防火対策はどうあるべきか。

 焼失した首里城は復元された建物で、国宝や国の重要文化財指定を受けていない。政府はパリ・ノートルダム寺院の火災後、文化財の防火対策強化を呼び掛けたが、復元施設は対象外だった。

 さらに宿泊などが想定されていない首里城には消防法令上、スプリンクラー設置の義務もない。

 ノートルダム寺院の火災を受け文化庁が国宝や重文の防火設備を調査したところ、屋内への消火設備設置は15%前後と低かった。夜間の火災に対応できる人数も重文の35%で「2人未満」など管理体制のもろさが浮き彫りになった。

 同庁は年末にまとめた文化財防火の5カ年計画に復元建物への対応を盛り込んだが、初期消火対策や管理体制など向き合わなければならない課題は多い。

■    ■

 参考になるのは、設置義務のないスプリンクラーを千個余り取り付けている兵庫県の国宝「姫路城」の防火対策だ。

 火災報知機が鳴ると消防にも同時に伝わるシステムの採用や、消防車両を敷地内に入れ放水砲を稼働させるなど、不測の事態に備えた訓練に力を入れている。

 文化財防火デーを中心に各地で文化財の防火訓練が実施される。

 昼間だけでなく夜間の発生を想定した訓練などを積み重ね、教訓の共有を図る必要がある。

 
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