[Re婚の先に 親は子は]父母のはざまで(下)

マユミさんが父方の祖母の形見で保管している指輪。両親の離婚後、一度も会えずに亡くなった祖母のお気に入りで「よく身に着けていた」と思い返す=21日、那覇市内

 「年、取ったなあ」。しみじみ感じたのも無理はない。勇気を振り絞ってかけた電話をきっかけに2015年の冬、本島南部の会社員マユミさん(37)=仮名=は関西地方にいる父(72)を訪ねた。再会は両親が離婚した中学1年の時以来、20年ぶり。再婚した女性と2人、穏やかに暮らしていた。

 取得した資格や、歌が好きで地道に続けるバンド活動のこと。距離感に戸惑う娘の近況報告に、父はじっと耳を傾け「すごいな」「そんなことできるんか」と褒め立てた。

 マユミさんとは長く疎遠だった半面、運送会社で働きながら娘2人の養育費を払い続け、祖母が亡くなった後は遺産を分けるため沖縄にやって来たという。「家族を捨てた男」。母の一言を思い浮かべマユミさんはもやもやしたが、父は子育てを一身に担った母の苦労を思ってか、決して母を悪くは言わなかった。

 それから5年。昨年末までに4度会った父にとっては、家族一緒だった頃の少女のままなのだろう。

 ドライブ中、ハンドルを握るマユミさんにそわそわして落ち着かず、空港へ向かう別れ際には単純な電車の乗り換えさえ間違えないよう念を押す。父自身は持病が悪化し、通院が欠かせないだけに、父譲りの容姿と甘い物好きな娘の体調も気掛かりなようだ。