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“鬼監督”の教え「あいさつは自分を強くする」 チャンピオンになれなかった男性がつかんだ栄冠

2020年2月4日 05:50

 「あいさつは自分自身を強くする 始まりと終わりのゴング」−。ジムの会長らで組織する日本プロボクシング協会(JPBA)はこのほど、「あいさつ啓蒙(けいもう)ポスター・デザイン」を全国公募し、最優秀賞に大山朝之さん(38)=浦添市=の作品を選んだ。ポスターは今後、協会に加盟する全国約280のジムに掲示される。15年前から創作活動に取り組む大山さんも学生時代はボクサーだった。「大好きなボクシングで評価され、本当に光栄」と喜んでいる。

最優秀賞のポスターを手にする大山朝之さん。全国のボクシングジムに掲示される=沖縄タイムス社

 JPBAは、キッズボクサーにあいさつの大切さを知ってもらおうと公募を実施。大山さんの作品は男の子と女の子が楽しく練習する様子をイラストにした上で、大書きした「おねがいします」「ありがとうございました」の下に冒頭の言葉を付けた。

 漫画「はじめの一歩」に憧れ、沖縄尚学高校でボクシングを始めた。指導者は延べ40人の高校王者を育てた名伯楽の故金城眞吉さん。大山さんは「どんなポスターを作ろうかと考えた時、真っ先に思い浮かんだのが金城監督。ボクシング以上に厳しく教えられたのは、あいさつと礼儀の大切さだった」と振り返る。

 当時は鬼監督が怖くてやみくもに頭を下げていたが、今は「あいさつは目上の人や先輩のためではなく、自分のためにやるものなんだ」と思う。その実感をキャッチフレーズに込めたことで高い評価を得た。

 昼間は理学療法士として障がい者施設でリハビリの仕事をし、夜と休日に木版やデザイン、イラストなどを手掛けている。「ボクシングではチャンピオンになれなかったけれど、金城監督が全国の賞を取らせてくれた。もっといい作品を作っていきたい」と力を込めた。(運動部・磯野直)

名伯楽のミット―ボクシング王国・沖縄金城眞吉の道
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