社説

社説[首里城火災捜査終結]なお残る重い管理責任

2020年1月31日 07:50

 首里城火災から3カ月となるのを前に、県警は捜査の終結を発表し、原因が特定できなかったとした。放火などの事件性はなく、刑事責任を問う証拠もないことで一定の結論が出た。

 だが、管理責任がないということではない。原因究明ができないほど多くを焼き尽くした要因は何だったか。首里城を所有する国、管理者の県、指定管理者の沖縄美ら島財団の責任はなお残る。

 県警は首里城公園内の防犯カメラの映像を解析して原因究明に当たった。火元とみられる正殿北東側から収集したショート痕や電気配線などの資料を調べたが、損傷が激しく原因特定に至らなかった。

 警察の捜査とは別に、これまで防火設備や体制の不備、課題が明らかになっている。

 首里城にスプリンクラーは設置されていない。延焼拡大の一因とも指摘されたが、消防法令上、設置義務はない。だが、同じく義務がない兵庫県の姫路城では、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されたのを機に、取り付けるなど防火体制を強化している。

 木造建築が多い日本の文化財建造物はこれまでも火災に見舞われたことがあり、設置していれば延焼を抑えることができたのではないか。

 初期消火のため、正殿周辺に設置された放水銃の1基の収納ぶたが開かずに使えなかったことも分かっている。設置以降は防災訓練でも使用していなかったという。防火機能の点検、管理はどうだったか。消えぬ疑問に丁寧に答える必要がある。

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 財団によると、火災当時、警備と監視員の計3人のうち、仮眠中だった2人は異常を知らせる人感センサーが鳴った直後も仮眠をしていた。警備会社との業務計画などでは1人が巡回するときは別の1人がモニター監視をすることになっていたが、正しく運用できていなかった。

 非常時を想定し、別の場所でも監視できるようなリスク分散の対策は打てなかったか。二重三重の備えが必要だろう。

 夜間の火災を想定した訓練も実施していなかった。人手が少なくなる夜間は特に不測の事態への準備が鍵となる。

 首里城火災から初となる26日の「文化財防火デー」には、全国各地で国宝や重要文化財を守る訓練が行われた。この時期だからこそ、県内でも住民の防火意識を高めるために、県が音頭をとって大規模な防火訓練を実施してもよかったのではないか。

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 県は本年度中に再建に向けた基本方針を策定する。

 昨年末に打ち出した復興への七つの「基本的な考え方」のうち、火災の原因究明および防火・施設管理体制の強化については、県警や消防の調査結果を踏まえて、県が今後設置する第三者委員会で検討するとしている。

 消防の調査結果の公表はこれからだが、原因が特定できないとする県警の捜査が終結した中、第三者委員会には緻密な検証が求められる。県はまず設置時期を明確にした上で、検証結果と対応策を速やかに公表すべきだ。

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