戦世生きて くらしの記録

泣いて笑って過ごした75年前の学生生活 普通の日常に次第に戦争の影が忍び寄ってきた… 

2020年2月3日 05:00

■戦世生きて くらしの記録(1) 島袋淑子さん(上) 

女子師範学校の通過儀礼

制服を着て友達や先輩と並ぶ島袋淑子さん(前列右)。制服の胸には住所、氏名、血液型を書いた名札を縫い付けていた=1943年(ひめゆり平和祈念資料館提供)

学校生活の思い出を語る島袋淑子さん=糸満市・ひめゆり平和祈念資料館

女子師範学校の通過儀礼 制服を着て友達や先輩と並ぶ島袋淑子さん(前列右)。制服の胸には住所、氏名、血液型を書いた名札を縫い付けていた=1943年(ひめゆり平和祈念資料館提供) 学校生活の思い出を語る島袋淑子さん=糸満市・ひめゆり平和祈念資料館

 沖縄戦が始まる3年前の1942年4月、島袋淑子(よしこ)さん(92)=当時14歳=は憧れの沖縄県女子師範学校に入学し、本部町伊豆味の親元を離れて寮生活を送っていた。

 上級生を含む12人ほどの相部屋で、初めは慣れないことばかり。ホームシックになり、寮の近くでヤギが鳴くと故郷の生活を思い出し「一緒に泣いた」。

◆ドキドキの学園生活

 新入生の通過儀礼はドキドキだった。上級生が床一列に急須やバケツなどを並べ、新入生が目隠しをして乗り越える寮の伝統行事「障害物越え」だ。無事乗り越えられたら今後の学園生活は「安泰」、つまずいたら「要注意」と上級生から説明があった。

 「かかったらどうしよう」と思いながら淑子さんが一歩を踏み出すと、上級生が「あ、危ない」「もっと足上げて!」と声を上げる。実は歩く前に障害物は取り除かれているが、何も知らない新入生は真剣そのもの。全員が歩き終わったところで障害物は元の位置に戻され、目隠しを外すと「おめでとう」の大拍手が響いた。

 淑子さんら新入生が真相を知るのは1年後。何もない床を滑稽に歩く新入生を見て、上級生になった淑子さんも「笑いをこらえるのに必死だった」。

 休日には寮の上級生と下級生が一緒に出掛けることも。外出には許可が必要だったが「昆虫採集」の名目で度々遠出した。

◆時には男子校にも

 ある日曜日、淑子さんは先輩と一緒に軽便鉄道に乗り込んだ。白い帽子にヘチマ襟ブラウスと紺スカートの制服姿で、学校のある那覇から向かった先は嘉手納の男子校。先輩が「よしちゃん、兄さんがいるでしょう?」と兄が通う男子校への訪問を持ち掛けたのだ。

 男女の交流が今のように自由でなかった時代。男子校への立ち入りは禁止されていた。

 女子生徒十数人が校庭に現れると、寮にいた男子生徒たちは「女学生が来た!」と窓から身を乗り出し、「ヒューヒュー」と指笛を鳴らした。妹の姿に兄は「なんで来た。帰れ、逃げれ」と慌てたが、兄の上級生たちは「おいで、おいで」と手招きした。

 日曜日で先生は不在。それでも淑子さんは男子校に立ち入ったことが心配になり、「早く帰りましょう」と先輩を促した。帰り際、男子生徒たちは校庭で育てていた花をたくさん取って持たせてくれた。

 そんな楽しい学園生活にも戦争の影が忍び寄った。

戦時中の暮らしエピソード募集

 戦争体験者の皆さん、今でも心に残る思い出はありませんか? 体験者が家族や身近にいる人は当時の話を聞いて寄せてみませんか? 投稿は400字程度。氏名・年齢・居住市町村・連絡先を明記してください。郵送は郵便番号900-8678、那覇市久茂地2の2の2、「沖縄タイムス社編集局社会部」宛て。メールはikusayu75@okinawatimes.co.jpへ。 以下のリンク先からも投稿できます。

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