ミュージシャン NENEさん(19)=沖縄市出身

 小柄な体がリズミカルに躍動し、音楽と共鳴する。奏でる歌声も合わさり、見る者をひきつける。作詞・作曲、踊りの振り付けもこなすマルチな才能。「いつの日か、たくさんの人々に私のパフォーマンスを届けたい」。幼い頃から夢見るステージを目指し、東京で力を磨きながら、その時を待つ。

「いつか、自分のパフォーマンスをたくさんの人に届けたい」と話すNENEさん(提供)

 持ち味のダンスとの出会いは小学3年。母に連れられ、バレエ教室の体験入学に行った日、偶然ストリートダンスを目にし「これをやってみたい」と直感的に思った。父を含め医者一家で育ち、医療の道に進もうかと漠然と考えていたが、その日以来、音楽の魅力に引かれていく。

 NFL(米プロフットボール)王者決定戦スーパーボウルで歌うマイケル・ジャクソンの映像を夢中で見たのは小6の時。自分なりの“格好良さ”を表現する美意識を育てていく。県内でダンスグループの一員として活動した後、高校2年の時、ワタナベエデュケーショングループ(東京)のタレントオーディションを受けて合格。両親と交わした約束は「22歳までにデビューして活躍していなければ、沖縄に帰って仕事をする」。決意を胸に秘めての上京だった。

 レッスンを受け続けて1年余り。力を蓄えるいわば育成期間中は極力、世間への露出を控えてきた。早く人前で歌いたいと焦りも募る。昨年、自力で全て準備し、単独ライブを開いた。

 インターネットで会場を探し「ライブをしたいが、どうしたらいいか」と電話することから始めた。相手側にデモテープを送ってOKをもらうと、パソコンでチラシを作る。昨年10月、渋谷で観客250人を前に実現させた。自前の曲に会場が揺れる。ステージから客席に呼び掛けると、それに応えてくれる。「これがやりたかった」。喜びと達成感が全身を包んだ。

 今でも思い出す出来事がある。小3の一時期、仲の良い友達からいじめられた。どうすればいいか悩んだが、得意のダンスを踊ったら、いじめは止まった。「自分自身を守ってくれるのがダンス。私なりの強みを出せばいいんだ」。周囲から一目置かれる存在になることで、心が解放される感覚になった。

 音楽は社会を変えると信じる。誰にも言えない苦しみを抱えた人の思いを代弁できる歌い手になりたい。両親との約束の期限まであと3年。目の前の道を全速力で駆け抜けていく。(東京報道部・西江昭吾)

 【プロフィル】NENE(本名・中田ねね) 2000年、沖縄市生まれ。通信制のヒューマンキャンパス高校(那覇市)2年時、ワタナベエデュケーショングループ(東京)のオーディションに合格し、上京。ボイストレーニングなどのレッスンを受け、音楽の技量を磨く。パフォーマーとしての目標はビヨンセ。楽曲で好きなのはジャミロクワイ。県出身の安室奈美恵さんの生き方にも憧れる。