県内の2019年の完全失業率が2・7%となり、1972年の復帰以降最も低くなった。

 求職者1人当たりの求人数を示す有効求人倍率も1・19倍で、過去最高だった。

 いずれも、県内の雇用情勢が改善していることを示すデータで、喜ばしい。

 県内では過去、失業率が8・4%まで上がったことがある(2001年度)。2%台になるのは初めてのことだ。

 有効求人倍率も1977年に0・09倍まで落ち込んだ。2016年に初めて1倍の大台に乗り、6年連続で最高値を更新している。

 雇用情勢の改善を下支えしているのが好調な観光産業だ。

 観光に関連する産業は多岐にわたる。観光客が直接利用する宿泊・飲食サービス業はもちろん、ホテルやショッピングセンターの建設に関わる建設業、移動や物流に関わる運輸・郵便業の新規求人数が増えた。

 県内だけをみると、飛躍的な改善だが、全国と比べるとそうともいえない。

 完全失業率は全国平均の2・4%を上回っている。有効求人倍率も全国の1・60倍にはまだ及ばない。

 雇用改善の一方で県内では人手不足が深刻化している。運転手不足で路線バスが減便したり、人手不足を背景に労働災害が増加している。

 県内の雇用は「買い手市場」から「売り手市場」へ、「就職難」から「人手不足」へ、新たな局面に入ったと言えそうだ。

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 失業率、求人倍率の改善の一方で依然、課題として残っているのが非正規雇用率の高さだ。

 沖縄の非正規雇用率は43・1%で全国1位。正規雇用率は56・9%で最も低い。

 非正規は正規雇用に比べ、賃金が安く、雇用を打ち切る「雇い止め」に遭う可能性があるなど、雇用が不安定になりがちだ。

 低賃金も沖縄の大きな問題だ。

 県内の5人以上の事業所の給与総額は月24万4775円で、全国平均32万3547円の75%にとどまっている。

 ここ10年をみると、沖縄の月給は23~25万円台で足踏み状態だ。

 昨年10月、消費税率が10%に上がったが、賃金が上がらないのでは、労働者の生活は立ちゆかない。

 売り手市場では、労働の対価である賃金をケチっていては労働者に選ばれない。労働の対価をしっかり支払うことで、働き手は仕事にやりがいを感じ、労働生産性が上がる。

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 ことし4月から、非正規雇用と正規雇用の不合理な待遇格差をなくす「同一労働同一賃金」が大企業に義務付けられる。

 仕事の内容が同じで能力や成果が同じなら、正規、非正規にかかわらず、賃金や手当を同じ水準にしなければならない。中小企業は21年4月のスタートとなる。

 労働者の身分を保障し、賃金を上げる。追い風の今こそ、待遇改善に真剣に取り組むべきだ。