■「てるしの」の島から 伊平屋ふるさと元気応援企画 (上)

モズクの収穫作業(伊平屋村漁業協同組合提供)

モズク漁に携わる(左から)嘉納増秀さん、城間悠太さん、嘉納直彦さん=伊平屋村(提供)

モズクの収穫作業(伊平屋村漁業協同組合提供) モズク漁に携わる(左から)嘉納増秀さん、城間悠太さん、嘉納直彦さん=伊平屋村(提供)

 沖縄県が指定するモズクの拠点産地第1号の伊平屋村。特産のモズクは土産としても人気が高い。年により変動もあるが、年間平均水揚げ量はここ10年で約600~700トン。村漁業協同組合もずく生産部会には約40人が所属する。親子でモズク漁に励むのが、田名区の嘉納増秀さん(64)と直彦さん(30)だ。

 伊平屋のモズクはぬめりが強く、太くて中身が詰まっているのが特徴。養殖は毎年10~12月ごろから始まる。海水をくんできて陸上で約20日かけて網に種を付け、網を海中の苗床に設置する。透明度が高い海は日光が降り注ぎ、さらに白い砂地での照り返しで光合成が促進されてモズクがすくすくと育つという。4~6月が収穫のメインシーズンだ。

 増秀さんは30歳ごろから30年以上、モズク漁に携わる。「海が荒れている時以外は必ず海に行く」と、どんな時でも海中のモズクのことを気に掛けてきた。直彦さんも「農家の人が毎日畑に行くのと同じ。私たちもいいものを作るために海へ行くのは欠かせない」と話す。

 網に他の海草が付くと、モズクは光を浴びられず成長が滞る。生育状況に応じて網を波の穏やかな深い場所に移動させる。網をどこに、どのタイミングで移動させるかが腕の見せどころだ。経験豊富な増秀さんも昨年はかつてないほどの不作に苦しんだ。「これをやれば絶対成功するというのはない。ひたすらモズクと向き合うだけ」

 そんな父の「かっこいい」背中を追い掛け、直彦さんはモズク漁を小さい時から手伝ってきた。高校卒業後、別の仕事に就き、8年ほど前からモズク漁を始めた。今は、もずく部会の副部会長を務め、責任を感じる日々だ。「ただ頑張るだけ。自分のためにも、漁協のためにも、島のためにも」と言葉に熱がこもる。増秀さんは「今は後方支援。でも70代で現役の人もいるし、まだまだ引退はできないな」と笑った。(北部報道部・當銘悠)

    ◇    ◇

 沖縄タイムスふるさと元気応援企画「いへやじゅうてー、人情味溢(あふ)れる原風景の郷 第3回伊平屋 観光・物産と芸能フェア」が7~9日の3日間、那覇市久茂地のタイムスビルで開かれる。村の特産品が一堂にそろい、村漁協は太モズクで作った、つるつるとした喉ごしが人気の「もずくめん」などを販売する。観光フェアや伝統芸能公演もある。