黒糖を生産する製糖工場が、大量の在庫を抱え苦境に立たされている。これ以上、在庫が増え続ければ、農家からの買い取りを停止せざるを得ない事態も想定されるという。販路拡大や行政の支援が不可欠だ。

 県黒砂糖工業会(黒工会)がまとめた2019~20年産の生産予測は9180トン。年間販売量の7千~7500トンを上回る「供給過剰」で、2千~3千トンが在庫となる見通しだ。

 昨年10月時点で、伊平屋や与那国など離島2町4村にある黒糖8工場の在庫は約2100トン。これに、卸売業者の在庫約8100トンを加え計1万200トン。今年の分が上積みされると、1万2千~1万3千トンと年間販売量の実に約1・5倍に達する。

 黒糖は5年前まで、需給が一致する7千トン台の生産だった。病虫対策や台風被害の減少で16~17年産以降は、9千トンを超す豊作が続いている。

 加えて、タイや中国産など安価な輸入ものとの競争にさらされている。日照不足などで生産量が5千トン台に落ち込んだ11~12年時に輸入品に流れ、戻らない取引業者もいるという。

 安定供給を実現すると同時に、在庫の適切な管理が求められるが、バランスが崩れた状況が続いている。

 消費者の甘味離れや類似商品との差別化がうまく図られていないことも、需要低迷の一因である。黒糖に糖蜜などを加えた再製糖(加工黒糖)とサトウキビだけが原料の純黒糖との違いは十分に知られていない。

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 重要なのは、沖縄黒糖としての独自性やブランドの認知度向上といった「営業努力」だ。

 黒糖の販売が苦戦していることを受け、JAおきなわは昨年、「特命プロジェクト推進室」を新設。黒糖の在庫解消に向け販促活動を本格化させている。黒工会も、栄養価の高い純黒糖をPRするマークを商品に表示して、加工黒糖との差別化に努めている。

 行政も手をこまねいているわけではない。

 内閣府は来年度予算に黒糖の需要や流通状況、海外のニーズなどを把握する事業を盛り込んだ。県も製糖業者と黒糖を使用する食品、菓子メーカーなどを仲介する商談会や企業の商品開発の支援を計画している。

 国や県、JAといった製糖業者が知恵をしぼり、連携した改善策が求められている。

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 小規模離島に黒糖工場が集中しているのは、加工まで一貫生産し保存できるメリットが大きいためだ。輸送に時間を要する生鮮野菜などは、市場から離れた離島には向かない、という事情もある。

 黒糖は白砂糖と比べ、国の糖価調整制度に基づく交付金がないなど支援が薄い。

 黒工会の西村憲会長は「このままでは最悪の場合、工場が共倒れになる恐れがある。一つの産業ではなく離島の定住条件が守れるかどうかの問題だ」と訴える。

 黒糖づくりは、島の経済を支える重要な産業である。黒糖の危機は、離島の危機と捉えるべきだ。