横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での新型コロナウイルス感染は、国内で初の集団感染という新たな局面に入った。

 6日までに、計20人の感染が確認された。乗員乗客全員が船内で2週間の待機を求められるなど、前例のない事態になっている。

 同クルーズ船は最初に感染が確認された男性が1月25日に香港で下船後、ベトナムなどを経由して2月1日に那覇港に寄港した。その際に乗客約2600人が一時下船し、バスやタクシーなどを利用して観光していたことが分かっている。

 県内でも感染の可能性は否定できない状況にある。

 そのため、県は乗客と接触したバスやタクシー運転手らのリスト作成に着手した。乗客と長時間接したり、発熱やせきの症状があったりするなど、感染リスクが高い人を優先してウイルス検査を促す。

 感染防止の一環としてスピード感を持って対応してもらいたい。

 大型客船内では、感染経路の詳細は明らかになっていないが、限られた空間で寝起きし、ツアーなど行動を共にすることも要因に考えられるという。

 県内で一時下船した客らも類似した環境にあったことは想像がつく。ただ、どこでどう感染するか予測できない側面は多い。

 県は感染疑いがある患者を検査する体制を整えているが、ありとあらゆるリスクを想定して万全に備えてほしい。

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 新型肺炎の感染拡大が続く中国では、死者が500人超となり、感染者は2万8千人を超えている。終息の兆しは見えない。

 那覇検疫所は、中国本土(香港、マカオを含む)からのクルーズ船の検疫を強化するなど警戒を強めている。

 従来は下船させながら検疫をしていたが、今後は全員の検疫が終わって問題がないと確認できるまで下船させない措置をとる。中国本土で滞在したことがあるかどうかや健康状態に関する質問票を乗客乗員から徴集する。

 感染リスクを減らし、水際で食い止めるためにはやむを得ない対応といえる。

 ただ、クルーズ客にとっては滞在時間が短くなったり、待ち時間のストレスなど制約が生じる。観光へのイメージにも少なからず影響が出る可能性もある。事前の丁寧な説明と理解を得るための対策も必要だろう。

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 保健所には検査や新型肺炎に関する問い合わせが多く寄せられており、他の検査業務ができなくなるなどの支障も出ているという。

 これまで検査対象にならなかった人から相次いで感染が確認されたことで、厚労省はウイルス検査の対象を拡大した。不安に思う人が増えることは致し方ないが、過剰な問い合わせや受診は、医療・保健機関のまひを引き起こしかねない。

 県民には冷静に正しい知識を得ること、県や関係機関には、こまめに情報発信することが求められる。