ミステリーの謎解きで、犯人が早めに分かってしまうのはなんとも残念でならないが、本作は伏線も丁寧に回収しながら“そう来たか”と唸らせてくれる爽快な1本。

ナイブズ・アウト(スクリーンガイド)

 世界的ミステリー作家が85歳の誕生日の翌日、遺体となって発見される。場所はNY郊外の豪邸。もちろん遺産争いも勃発するが、遺族のそれぞれの立ち位置がこれまた丁寧に描かれるので想像が膨らんで楽しい。テンポもはじけるように小気味よく飽きさせない。

 実生活で人に欺かれればじだんだ踏み、恨みと悔恨しか残らないのに、ミステリー映画で欺かれることのなんとここち良いこと。老作家は自殺か他殺か。その死の奥に流れる深い愛情に涙しながら、名優たちの奏でる欲と偽善の側に自分も居るんだろうなと、暗闇の中でざんげする。

(スターシアターズ・榮慶子)

◇シネマQ、ライカムで上映中