起こるべくして起きた事態なのだと改めて痛感させられた。本島中部の養豚場で県内では33年ぶりに豚熱の感染が発覚して1カ月。これまで殺処分された豚は1万頭に上る

▼1月上旬から中旬に相次いだ感染確認が落ち着き、終息に向けた期待が高まっていたが、今月2日に新たな感染が見つかり状況は一進一退。先行きの見えない状況に搬出制限区域内の養豚業者らは頭を抱えている

▼「強い抗生剤を打っても効かない。おかしい」。昨秋、養豚業を営む有志らが集まった会合で豚の異変を訴える農家がいたという。「あの時、県に連絡していれば違った結果になっていたかも。ウイルスを疑った頃には遅かった」

▼会合に参加した農家は後悔をにじませる。豚熱感染の危険性が高まる非加熱処理の残さを与えていた農家がいたことにはあきれかえった。今回の問題を受けて国は畜産農家に順守を求める衛生管理基準の厳格化を決めた

▼出荷ができず、収入を断たれ、補償の有無に不安を抱きながらも農家らは国の判断を歓迎する。「信頼回復の機会にしたい」と前を向く

▼これまではなかった同業者同士の情報交換など横のつながりが生まれているのも心強い。早期終息と再発防止には、県の強力な指導とともに、養豚農家それぞれが食の安全を提供するプロとしての強い意識が求められる。(石川亮太)