[ラオス地酒を世界へ コープおきなわの挑戦](上)

各家庭の庭先では、今でも釜を使ってラオラオ酒を製造している=8日、ラオス・アッタプー県サイー村

サイー村協同組合の工場で、蒸したもち米に村伝統の麹を混ぜ込むスタッフら=5日、ラオス・アッタプー県サイー村

ラオス・アッタプー県、ビエンチャン

各家庭の庭先では、今でも釜を使ってラオラオ酒を製造している=8日、ラオス・アッタプー県サイー村 サイー村協同組合の工場で、蒸したもち米に村伝統の麹を混ぜ込むスタッフら=5日、ラオス・アッタプー県サイー村 ラオス・アッタプー県、ビエンチャン

 ラオスの首都ビエンチャンから南西へ約580キロに位置する農村、アッタプー県サイー村。山に囲まれた平地で水資源にも恵まれている。人口2千人余りの、のどかな村だ。

 「伝統の地酒ラオラオ酒を瓶に詰め、ラベルを貼って商業的に売りたい」。2014年、国際協力機構(JICA)沖縄の視察で初めて村を訪れたコープおきなわ理事長スタッフの石原修(60)に、村の女性たちが相談を持ち掛けた。

 村はほぼ自給自足の生活。各家庭で米や野菜を育て、豚や牛を飼う。ラオラオ酒を軒先で売るなどして得る月収は平均4千円ほどだ。

 ただ、素朴な村にも資本主義経済が流れ込みつつあった。村はベトナム国境に近く、サトウキビやゴムの農園を営むベトナムの企業が進出。周辺都市との幹線道路の舗装や物流体制の整備が進み、都市からはビールや外国の酒が運ばれてくる。女性たちの貴重な現金収入源だったラオラオ酒も影響を受けた。

 「協同組合をつくって、村の特産品のラオラオ酒を売ってはどうか」。県内外で地域の特産品づくりを手掛けてきた石原は、女性たちに提案した。工場を造り、原料仕入れから製造、販売までを一括で担う。品質管理を徹底し、世界へ輸出する計画だ。

 ハードルは高いが、石原は新しい挑戦に胸が躍った。工場の建設資材費は、JICA沖縄の草の根技術協力事業で確保。協同組合の中心的存在の女性3人を沖縄へ呼び、ラオラオが原酒で600年前に沖縄へ伝わったと言われる泡盛の酒造所などを見せた。

 一方で、プロジェクトは順風満帆ではなかった。協同組合の設立許可手続きは想定より時間を要した。手続きがスムーズにいくよう、行政側の支援者探しに駆けずり回った。村も一枚岩ではなかった。「これもどうせ無理だと思った。また日本人が来たと」。副村長のブンティン・ブッドソームシー(53)は鼻で笑った。これまでも同様の支援はあったが、どれも形にならなかった。結局プロジェクトが正式に始動したのは17年4月。工場は同年12月から稼働した。

 現在、協同組合には男女39人が所属し、1日平均75リットルを製造するまでになった。今月3日には、初めて沖縄にラオラオ酒「美らラオ」を輸出。従来は1リットル約120円のところ、美らラオは約1200円で販売。高品質が評価され、500ミリリットルの瓶で月平均100本を販売している。組合員にもこれまで3回、1万円以上が分配されている。

 課題は山積するが、村人は口をそろえる。「お金もそうだが、村の未来、村の成長のために続けていきたい」。(政経部・川野百合子)=敬称略

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 コープおきなわが、ラオスのサイー村で産業化を支援した特産地酒「美らラオ」が沖縄へ輸出された。コープおきなわの挑戦を通して、県内の産業支援や企業の課題解決のヒントを探る。