[新型肺炎 県内感染の波紋](2)

新型コロナウイルスの感染予防対策でアルコール消毒液や除菌シートを常備するタクシー=16日

 「会社、ちゃんと消毒しているのか」「お前は感染してないか、大丈夫か」

 タクシー運転手の女性が県内で初めて新型コロナウイルスに感染していることが確認された翌日、同じ会社の男性運転手は同業者から質問攻めに遭った。

 女性が勤めていたタクシー会社では、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が那覇に寄港する以前から、全職員にアルコール消毒や手洗いなどを呼び掛けていた。男性は「自分でも予防しているが、そのうち会社が特定されて、車には乗らないと言われないか本当に怖い」とつぶやく。

◆全社員の検査を要望

 一方、別の会社の運転手は「乗客から、感染したのこの車じゃないよね?と聞かれることもある。タクシー業界全体の風評被害につながらないか」と漏らす。

 現場の声を受け、県ハイヤー・タクシー協会は、女性の勤め先に全社員のウイルス検査を要望することを決定。県などに実施を求めたが、1日で検査できる数に限りがあることなどから県幹部は「現実的に難しい」としている。

 目に見えない感染への緊張感で、県内でもさまざまなうわさや感染源捜しが広まる。だが、関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)は「だれでも感染第一号になる可能性はある。仮に感染者を特定したとしても自分自身の感染、予防には何ら役に立たない」と指摘する。

 自治体に対しては、個人情報以外の感染者の行動履歴など、情報開示を求める一方で「現在のように曖昧な情報を基に犯人捜しをすれば、無関係な人も巻き込んで傷つける。それよりも、正しい情報を得て、どう予防するか考える方が現実的だ」と訴える。