社説

社説[新基地「護岸崩壊恐れ」]立地に適さない証しだ

2020年2月18日 09:21

 名護市辺野古の新基地建設は、現状のまま進めれば強大な護岸が崩れる可能性があることがわかった。

 大浦湾の軟弱地盤が最大深度90メートルにも達する実測データが明らかになり、新潟大学の立石雅昭名誉教授(地質学)ら専門家の調査団が護岸の安定性を調べた結果である。安定性は国土交通省が求める基準を満たしていないという。

 埋め立て予定海域の「B27」と呼ばれ、巨大な護岸の真下に当たる。

 データは防衛省が2019年3月に国会に提出した地盤調査結果の巻末に英文で記載されていた。

 埋め立てた盛り土が崩れ、巨大護岸が崩壊するとどうなるか。大浦湾全体の自然環境が壊滅的な打撃を受けるだろう。そもそも世界的に生物多様性を誇る海にグロテスクな新基地を建設することは許されないのだ。

 防衛省はB27から約150~750メートル離れた3地点のボーリング調査で、70メートルより深い地点は「非常に硬い粘土層」と類推。B27の「地盤強度は調べていない」と虚偽の答弁を続けていたのである。

 深度90メートルの地盤が軟弱とのデータが明らかになると、今度は地盤の土の種類を確認する「物理試験」を補うために簡易的に行われ、強度の検討には適さないと説明を変えてきた。とても信用できない。

 簡易であれなんであれ、B27の地盤強度を調べていたのは間違いない。英文資料には強度を意味する「Strength」と表記されているからである。それでも防衛省が「非常に硬い粘土層」と主張するのであれば、改めてボーリング調査をすべきである。

■    ■

 新基地が米軍の基準を満たさない事例はこれまでにいくつも指摘されている。

 滑走路を巡る地盤沈下の問題もそうである。米軍(海兵隊)の滑走路の勾配に関する基準では、滑走路の端から300メートル未満で勾配の変化がないことを求めている。しかし防衛省が示す見直し計画では、この範囲で毎年地盤沈下が予測されている。

 まだある。米国防総省の「統一施設基準書」では、滑走路の周囲2286メートルの範囲内で一定の高さを超える建造物を制限している。沖縄高専や久辺小、中学校、多くの住宅、店舗、マンションが制限を超えている。オスプレイをはじめとする軍用機の離着陸は基本的に海上とすると日米合意しているが、嘉手納、普天間を見るまでもなく守られる保障は何もない。

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 防衛省は3月中にも軟弱地盤の改良に伴う工事の設計変更を県へ申請する方針を固めている。深度90メートルに存在する軟弱地盤は設計変更に反映されないという。これで申請するとはずさんの極みである。

 玉城デニー知事は不承認の構えだ。深度90メートルの軟弱地盤を隠し、米軍基準に反する事例を考えれば当然である。

 新基地は無理に無理を重ねなければできないことを示している。辺野古・大浦湾は立地に適していないのである。工期も工費も大幅に膨らみ、政府がいう「辺野古が唯一」はすでに破綻している。方針を転換するときである。

 

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