[新型肺炎 県内感染の波紋](3)
「意識が高い」。沖縄本島南部の病院で働く医療従事者の40代男性は感心した。県内初の新型コロナウイルス感染が確認された女性が、自分の判断で他の患者との接触を避ける行動をしていたためだ。女性はいきなり外来を受診せず、まず自家用車内で待機。病院の指示に従い、通常と違う入り口から院内に入った。
一方で男性は、患者任せの現状を心配する。「ふらりと自覚のない患者が来たらどうすればいいか。ウイルスは見えないし、受診は断れない」
男性の病院は外来・入院患者とも、重症化しやすい高齢者が多い。「院内で感染が起きたらと考えるだけで身震いする」と語った。
本島の総合病院に勤める医療技術者の男性(35)は「県内の感染は時間の問題だった」と話す。勤務先では2月中旬からマスクが在庫不足に。1人が使えるのは1週間に1枚だけになり、ガーゼをマスクと口の間に挟んでそれを毎日交換し、マスク自体はアルコール消毒でしのぐ。15年のキャリアで初めての事態だ。