シャツの袖をまくって演説する姿に、既視感があった。思いだした。オバマ前大統領がそうしていた。トランプ大統領に挑む米民主党の候補者選びで、38歳のブティジェッジ氏が注目されている

▼初戦、アイオワ州で予想を覆し首位に立った。スーツの背広を脱ぎ、白のワイシャツに青いタイ。「革命か、現状維持か。決断の時だ」。若さ、はつらつとした印象を強調する戦術が読み取れる

▼有力視されていたサンダース上院議員は78歳、バイデン前副大統領は77歳。2期任せたら80代半ばだ。米野党も人材不足か、と思ったら新星が現れた。有権者にも同じ懸念があったのだろう

▼同性愛を公言する。演説後にパートナーが登壇し、キスする映像も放送された。移民排除など非寛容の象徴であるトランプ大統領と、多様性を体現するブティジェッジ氏が対照的で面白い

▼38歳だが、政治経験が8年ある。ハーバード大卒後、29歳で市長に当選。「神童」と呼ばれた。サンダース氏が公立大の授業料を全家庭で無償化すると言うと、2割の裕福な家庭は除外すると表明。穏健策で対抗する

▼米に比べ、日本は政権選択の機運が乏しい。合流さえできない有力野党の幹部は、新聞各紙が野党の質疑を手厚く報じたかどうかマルバツをつけて喜ぶ。国民にバツをつけられる理由を考えるのが先だ。(吉田央)