今から66年前、国税庁が出した一つの通達がある。「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取り扱いについて」。プロ野球の球団を持つ親会社が、子会社である球団の赤字を穴埋めした金は、広告宣伝費の名目で税制上優遇されるというものだ

▼セ・パ2リーグ制発足から5年。まだ乏しかった国民の娯楽を支えようとできた特権的制度は、プロ野球参入によって節税効果を生み、球団が企業の「広告塔」と位置付けられる一因となる

▼長く12球団で続いてきた球界に一石を投じる発言が飛び出した。ソフトバンクの王貞治会長が1月、福岡のテレビ番組で「球団数は現在の12よりも16が望ましい」と踏み込んだ

▼過去何度も浮上したエクスパンション(球団拡張)構想。野球人口減少が叫ばれる今だからこそ、前向きに捉えたい。願わくば、企業宣伝が幅を利かせる球界の在り方の見直しにつながってほしい

▼親会社に頼らずとも収益を出せる体質に変え、リーグ傘下のチームが全国各地で躍動する。容易ではないだろう。それでも、サッカーにできて野球にできないはずがない

▼沖縄では昨年、琉球ブルーオーシャンズが産声を上げ、今月29日に巨人3軍と初試合を迎える。新たな一歩を踏み出す選手たちを目に焼き付けたい。野球熱が高い沖縄に、プロ球団はきっと根付く。(西江昭吾)