千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が2019年1月、虐待され死亡した事件で、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判の初公判が千葉地裁で開かれた。

 勇一郎被告は「娘にしてきたことはしつけの範囲を超え、深く後悔している」などと傷害致死罪を認めた。

 一方で「飢餓状態にしたりストレスを与えて衰弱させたりしたことは一度もない。立たせ続けたり冷水シャワーを掛けたりしたこともない」と暴行内容を否認した。

 検察側の冒頭陳述によると、勇一郎被告は19年1月22~24日、心愛さんに食事や十分な睡眠を取らせず、浴室に立たせ続けたり、冷水シャワーを掛けたりするなどして死亡させたとしている。

 さらに18年12月~19年1月には暴行で胸を骨折させ、心愛さんの母親(33)にも暴力を振るったとされる。

 母親は暴行を止めなかったとして傷害ほう助罪に問われ、すでに懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の判決が確定している。判決は、母親は勇一郎被告のドメスティックバイオレンス(DV)などの影響で逆らうことが難しかったと認定している。

 裁判は今後、母親、児童相談所職員らの証人尋問、被告人質問などが行われる。

 勇一郎被告は当初、「しつけの一環」と供述していた。なぜしつけを超えた暴力に至り、虐待死させたのか。勇一郎被告は真実を明らかにし、裁判所は妻へのDVを含めその核心部分に迫ってほしい。

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 心愛さんは17年夏に糸満市から引っ越した。11月の学校アンケートで「お父さんにぼう力を受けています」と訴え、児相に一時保護された。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されたが、児相は約2カ月で解除した。千葉県検証委員会は「解除すべきでなかった」と批判している。

 18年1月にはあろうことか野田市教育委員会がアンケートのコピーを被告に渡していた。これも「安全を脅かす危惧があることは理解できたはずだ」と問題視。その後被告が「お父さんにたたかれたのはうそです」との書面を突き付け、実家から連れ帰ったことも「被告から指示されて書いている。心理的虐待と捉え、一時保護などを検討すべきだった」と指摘している。

 検証委は「ミスがミスを呼び、リスク判断が不十分なまま保護が解除され、漫然と推移した末に痛ましい結果を招いた」と結論付けている。

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 厚生労働省の有識者検討会は18日、改正児童虐待防止法の4月施行に伴い、体罰の指針をまとめた。子どもに身体の苦痛や不快感を与える行為を体罰と初めて定義した。

 「注意したが言うことを聞かないので頬をたたく」「いたずらしたので長時間正座させる」「宿題をしなかったので夕飯を与えない」-など5例を列挙している。しつけ名目で暴力が正当化されてきたことを踏まえたものだ。

 「しつけ」と称した体罰は許されない。親による体罰を根絶するには、自治体や児相と連携して子育て支援をすることも重要である。