トゥシビー(生年祝い)の一つで、数え年13歳の節目に行う「十三祝い」。小学5年生の学校行事に参加した時、感慨を覚えた。子どもたちは将来の夢を語り、成長を共に喜ぶ。地域で子どもを見守り育てるのだと感じた

▼生きていたら今、5年生。どんな夢が聞けただろうか。父親から虐待を受けて昨年1月に10歳で亡くなった栗原心愛(みあ)さん。千葉県野田市に引っ越す前、糸満市に住んでいた

▼亡くなる3カ月前、自分宛てに書いた手紙が公表された。終業式の日には〈漢字もできて、理科や社会も完ペキだと思います〉とつづる。最後は〈未来のあなたを見たいです。あきらめないで下さい〉と結ぶ

▼何度も発した虐待のサインは学校や関係機関に見過ごされていた。それでも未来への希望を捨てていなかったのだろう。丁寧な文字に、自分へのエールを込めた気持ちを思うと胸が痛む

▼事件後、野田市の検証委員がまとめた報告書は「頼れる大人が一人でもいたら救えたはず」と指摘した。傷害致死などの罪に問われた父親の公判も始まった。親の体罰を禁じた改正児童虐待防止法は4月に施行される

▼真相を究明し、再発防止へ体制を整えるのは待ったなしだが、頼れる大人になるために何ができるかを考えたい。子どもに未来を見せるのは大人の役目。諦めるわけにはいかない。(大門雅子)