国内の大手飲食チェーンが、スマートフォンで事前に注文して、店舗で待たずに商品を受け取るサービスを相次いで導入している。待ち時間解消などで、顧客満足度の向上を狙う。沖縄県内でも上間弁当天ぷら店のグループ会社などが事業展開を計画。消費者の利用も増えており、普及の兆しが見えてきた。

 牛丼チェーンの吉野家は14日、全国の1042店舗で、テークアウト専用のスマホ注文サービスを一斉に導入した。事前に注文を済ませ、指定した時間に店舗を訪れると、待たずに商品を持ち帰ることができる。

 担当者は「待ち時間削減で、お客さまの利便性を高める」と導入の意図を説明。現在は店舗で会計する必要があるが、他の飲食チェーンのようにスマホで支払いまでできるよう機能を拡充する計画だ。

 スマホを使わなくても注文を受けてから牛丼1杯を提供する時間は1〜2分程度だが、「待ち時間をさらに減らすことが、お客さまの満足度向上につながる」と強調。「店舗も事前注文で計画的に調理でき、業務効率を高められる」と来店客と店舗の双方にメリットがあると説いた。

「中食市場」の拡大

 キャッシュレス決済の普及や人手不足を背景に大手飲食チェーンは、スマホ注文サービスを次々と導入。共働き世帯の増加などで、拡大が続く「中食市場」を取り込みたい考えもある。

 1月にはマクドナルドが全国2700店舗で一斉に取り入れた。県内では昨年1月から先行実施している。

 牛丼チェーンのすき家は昨年7月から全国の1700店舗で実施。常連客を中心に利用が広がっており、「レジに並ばずにスムーズに帰れるのが良いなどの評価がある」(広報担当者)という。

 ケンタッキーフライドチキンは2016年からクリスマスメニューのみ、ほぼ全店で実施。クリスマスメニューの事前予約のうち3割をネット注文が占めるという。担当者は「24時間、どこからでも予約できる便利さが受けているようだ」とする。今後の需要を見越し、他のメニューも注文できる店舗を増やしている。県内は全店対応可能だ。

 ハンバーガーチェーンのモスバーガー、スターバックスコーヒー、回転ずしチェーンのくら寿司などもスマホ注文サービスを取り入れている。

 ただ、サービスは始まったばかりで、消費者にはまだ浸透していないのが実情。各社とも「利用実績は増えてきているが、注文全体に占める割合はまだ低い」と口をそろえ、PRに力を入れている。

 14年から全国一斉にサービスを展開している弁当チェーン店のほっともっとの担当者は「各社の導入が相次いだことで認知度が高まっている。業界全体で盛り上げていきたい」と話した。

県内企業も参入へ

 一方、県内でも事業展開に向け、開発を進める企業が出てきた。上間フードアンドライフ(沖縄市)のグループ会社のU&Iは「FastPick(ファストピック)」という名称で3月中旬の運用開始を予定。

 同サービスは、上間フードアンドライフが運営する上間天ぷら弁当店だけでなく、他の飲食店の参加も募っている。まずは12店舗から始め、今年中に300店舗の参加を目指す。

 業態が異なる多様な店舗が集まることで、メニューの幅が格段に広がる。1社単独で実施する大手飲食チェーンと差別化を図り、沖縄独自のサービスとして普及させたい考えだ。

 上間喜壽(よしかず)社長は「中食市場は今後も広がる。顧客のニーズを掘り起こしていきたい」と抱負を語った。