社説

社説[全国で臨時休校要請]混乱への対応を怠るな

2020年2月28日 07:44

 新型コロナウイルスによる感染拡大防止に向け、安倍晋三首相は27日、全国の小中高校、特別支援学校を3月2日から臨時休校にするよう要請した。

 子どもへの感染リスクを減らす措置として、専門家は一定効果があるとの見方を示しており、やむを得ない側面もある。

 だが、過去にない一斉休校という突然の要請に、保護者や学校現場には不安や混乱が広がっている。

 子どもの長期間自宅待機が想定され、保護者が仕事を休まざるを得なくなるなど家庭への負担が大きい。仕事を休めない保護者もいるはずだ。

 学習の遅れという不安もあり、それに応える支援や環境整備など混乱を回避する対策が不可欠だ。企業側の働き方に対する配慮も必要になる。

 異例の要請は、感染拡大が続き、政府対応の遅れが指摘される中、批判をかわしたい意向も透ける。一方で、夏の東京五輪への影響を最小限にとどめたい狙いもある。

 安倍首相は26日にもイベントの自粛要請を打ち出し、多くの公演、大会などが軒並み中止や延期となっている。

 感染経路が分からない「市中感染」の可能性がある中で、理解を示す声もあるが、政府が前日にまとめた基本方針とは一転した。自粛要請に法的根拠はなく、具体的な規模なども示されていない。主催者側の判断に委ねられており、今後も開催の判断を巡って混乱は予想される。

 生活、経済への影響を最小限にするための対策を早急に出すべきだ。

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 懸念されるのは中止や延期に伴う経済的損失だ。

 収益の減少に加え、消費活動が停滞することで全産業への影響は必至で、先行きが見通せない状況が続く。内閣府の景気ウオッチャー調査(1月)でも、2、3カ月先の見通しは下落し、新型コロナウイルスによる影響の懸念がみられるとした。

 県内でもすでに観光業をはじめ、小売り、飲食店など多業種が売り上げ減少に直面している。県内景況はこれまで6年余続いてきた拡大基調から、今後は悪化する可能性がある。

 感染拡大を防ぐための行事の自粛は必要とはいえ、本当に必要な行事までもがなくなれば経済活動の萎縮につながる。

 国は緊急対策で各種支援を打ち出しているが、経済不安が拡大する中、各企業のニーズにあった支援が急務だろう。

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 県は2019年度目標の観光客数1030万人の達成は厳しいとの見方を示した。

 日韓関係の悪化に加え、新型肺炎の影響による海外客の落ち込みや、国内客の旅行マインドの低下で減少傾向にあることが背景にある。

 沖縄観光コンベンションビューローは27日、新型肺炎の影響で、今後観光客数が50万人以上減少するとの見通しを示した。

 裾野が広い主要産業である観光業への影響を小さくするには、考えられる限りのあらゆる対策を講じなければならない。

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