社説

社説[一斉休校で首相会見]疑問解消されていない

2020年3月1日 08:49

 「首相の姿が見えない」と国内外から厳しい批判にさらされていた安倍晋三首相が、新型コロナウイルスへの対応を巡って、初めて記者会見を開いた。

 本来なら、全国の小中高校などの一斉休校を打ち出した2月27日に国民に説明すべきであった。

 だが、内情はそれどころではなかった。事前の調整や根回しがほとんど行われないまま、首相の独断で突然、一斉休校の方針が表明され、日本全体が大混乱に陥ったのである。

 会見では「十分な説明がなかった」ことを認めたが、一斉休校を要請した理由については「ここ1、2週間が極めて重要」だという専門家の指摘を紹介するだけにとどまった。

 多くの国民が期待したのは一斉休校が必要な根拠や、保護者の休業補償などの具体策である。にもかかわらず会見は、全体的に具体性に乏しく、政権の危機管理能力を疑わせる内容だった。

 さらにここに至るまでの政府の対応が適切だったかどうかについても答えるのを避けた。

 安倍首相は会見で「常に最悪の事態を想定し、備えることが重要」だと強調した。その言葉とは裏腹に、後手後手の対応が目立ち、25日に基本方針が示された後も、政府方針が二転三転するなど、迷走を続けた。

 説明責任を果たすには、政策決定の過程を明らかにする必要がある。耳の痛い話でもきちんと説明を尽くさなければならない。

■    ■

 この日の会見では、休職する保護者の所得減少に対応するための新たな助成金の創設も示された。

 保護者の負担軽減では、学童保育についても午前中から開所できるよう自治体を支援するという。

 しかし所得の補填(ほてん)があるといってもどこまでカバーされるのか、同じ集団生活でも学校は休校し学童は開所する判断基準などの説明は十分ではない。

 ウイルスに感染しているかどうか検査を希望する人が増える中、検査能力を強化し、保健所を経由しない態勢の整備や医療保険の適用も表明している。

 これまで厚生労働省は1日に最大約3800件の検査が可能と説明してきたが、実際には約900件だったことが明らかになっている。

 海外に比べ脆弱(ぜいじゃく)との指摘がある検査態勢の拡充は待ったなしだ。

■    ■

 世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスのリスク評価を最高の「非常に高い」に引き上げた。

 感染拡大は世界経済を直撃し、市民生活のあらゆる分野に影響を及ぼしている。

 会見で打ち出したいくつかの対策をこれからどのように実現していくのか。

 与野党党首会談を開くなど野党にも協力を求め、総合的な対策を早急にまとめる必要がある。

 安倍首相は「政治は結果責任だ」とも語った。政権の危機管理能力が問われる局面だ。

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