JTB沖縄主催の旅行文化講演会が2月22日、沖縄県の石垣市民会館で開かれた。登山家の野口健さん(46)が「富士山から日本を変える」をテーマに、登山者が捨てたごみの回収や、麓に不法投棄された産業廃棄物を処理するNPO活動を紹介。多くのボランティアのほか、自治体や国を巻き込みながら成果を上げていることを説明し、「環境の『環(わ)』は人と人とのつながり。連携しないと問題は解決できない。皆であるべき社会をつくっていくことが大事だ」と訴えた。

「環境の『環』は人の『わ』」と語る登山家の野口健さん=2月22日、石垣市民会館

 野口さんは1997年、23歳で世界最高峰のエベレスト登山に初挑戦した。その時にベースキャンプで日本人が捨てたとみられる大量のごみを目の当たりにした。欧米などの登山家からは「日本人はヒマラヤを富士山のように汚すのか」と言われた。恥じると同時に富士山の清掃活動を始めるきっかけになったと振り返った。

 山頂からごみ拾いと啓発活動を開始し、樹海に放置された産廃の処理に奔走した。行政に費用負担などの協力を依頼し、最終的には環境省を動かした。活動4年目まで年100人程度だったボランティアは徐々に増え、19年目の昨年は約7千人が参加したという。

 現在、山梨県側は山頂から樹海までほとんどごみが見つからなくなった。登山者の意識も向上したと手応えを語る。だが終了宣言を考えていた直後に地中からごみが出た。野口さんは「最近ごみ拾いでなく、ごみ掘りをしている」と苦笑しつつ「やっとトンネルの終わりの光が見えてきた。富士山がきれいになれば、一つのモデルケースとして日本中に取り組みが広がっていくのではないか」と期待した。

 講演会は石垣島で初めて開かれ、市民ら約300人が耳を傾けた。

(写図説明)「環境の『環』は人の『わ』」と語る登山家の野口健さん=2月22日、石垣市民会館