東日本大震災の発生から11日で9年になった。関連死を含む死者、行方不明者は2万2千人に上る。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、政府や多くの自治体の追悼行事が中止に追い込まれる異例の事態になった。家族が犠牲になった遺族らは、多くの人々が祈りをささげる式典の機会を失うことで、国民の震災の関心が薄れることへの不安もあるだろう。

 いまだ途上にある被災地の復興に一人一人が思いを寄せ、震災の教訓をあらたにする日にしたい。

 9年間で、道路や堤防などのハード面の整備は進んだ。被害の大きかった岩手、宮城、福島3県で、自宅を失った被災者向けに自治体が整備する災害公営住宅はすでに9割超が整備された。被災した鉄道は、福島県の東部を南北に貫く常磐線が14日に全線再開し、全て復旧する。

 一方で、東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県の沿岸部を中心に依然として約4万8千人の避難が続き、プレハブ仮設住宅に740人が住んでいる。

 災害公営住宅の入居者が増えるのに伴い、孤独死も増加している。共同通信によると、3県の災害公営住宅の入居者で、孤独死した人が少なくとも242人に上る。高齢者の1人暮らしが多いことが背景にあり、入居世帯の約3割を65歳以上の1人暮らし世帯が占める。住み慣れた地を離れて知り合いがおらず、孤立するケースもあるという。

 コミュニティーの再生・維持、高齢者の孤立防止対策、住民の交流の促進などが大きな課題だ。

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 震災の記憶を風化させないと、当時幼かった子どもたちが成長し、被災地で、伝承活動の一翼を担うようになってきた。記憶があいまいなところは家族や親類らから聞いて補うなどし、「震災の記憶が残る最後の世代」として発信する。

 宮城県七ケ浜町に住む双子の女子高校生、小野寺美羽さん(17)、優羽さん(17)は8歳の時、岩手県陸前高田市で被災し、母親や祖母を失った。母親らが津波に流されたと聞いても深刻さが分からず、葬儀ではしゃいでいた。

 現在は、当時の思い出を紙芝居にまとめ、震災の記憶のない小学生や、まだ生まれていなかった幼稚園児らに読み聞かせている。

 姉妹は「大切な人が突然いなくなることがある。一緒にいる一分一秒を大切にして」と訴えている。

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 記憶の風化を防ぐ試みは沖縄でも行われる。岩手県の地元紙「岩手日報」は11日正午から、那覇市内のパレットくもじ前と那覇メインプレイス前で特別号外を配る。

 沖縄での初めての配布で、震災時や現状を知るための貴重な紙面となる。

 首里城が昨年焼失した沖縄の県民と連携しようと企画された。岩手日報社の川村公司編集局長は「震災をどう伝えていくか、風化を防ぐかがこれからの一番の課題になっていく。永遠に向き合っていかなければならない」と話す。

 我々も同じベクトルで「3・11」に向き合っていく。