南城市は2020年度から市役所や図書館、公民館などで非常勤職員らが担ってきた複数の業務を包括して民間へ委託する。業務改善に向けた人員体制見直しなどを目的に、国の新制度導入と同時に実施。対象業務に就く約230人の身分が民間パート社員に変わる予定だが、勤務場所、待遇は原則同じ。現場からは「不安が多い。実態が予測できない」「民間の空気が入ることは悪くない」など、さまざまな声が上がる。(南部報道部・松田興平)

市民や事業者らが頻繁に出入りする南城市役所。本庁舎以外でも、合併前の旧4町村にある公共施設には多くの非常勤職員たちが勤める=南城市佐敷、同市役所

 市の包括業務委託は、20年度から全国各自治体で非正規職員の身分が変わる「会計年度任用職員制度」導入と同時に行われる。全国で始まる同制度の趣旨は職員の待遇改善。県内自治体では人件費増を見込んで就業時間の短縮など対応が分かれる。

目的は業務効率化

 市は17年度ごろから包括業務委託を検討。現在、市職員652人のうち非常勤が317人。そのうち半数以上が20年度から委託先の所属となる。相談員や市史編さんなど専門性が高いと判断された職務の非正規職員らは新制度の下、引き続き市が雇用。

 一方で民間委託される業務は、部署によりばらつきがあった非常勤の仕事量や質などを見直す業務効率化を目的にしているという。委託先は市文化センターシュガーホールの指定管理や全国自治体からの業務を受託する「共立メンテナンス」(東京)。

 市は「『会計年度任用職員制度』に伴う人件費増対策が目的ではない。もともと『包括業務委託』を検討していた」と説明する。

 市の19年度の人件費は5億8921万円。20年度人件費は3億2216万6千円に減る一方、委託費として見込み額で4億8671万3千円が新たに発生する。合計すると支出の増加は約2億円を超す。市は「単純な足し算では、はかりにくい側面がある」と強調。「委託は各部署がより本来の業務に注力できる体制を整えるためで、全庁的に各業務を洗い出す機会にした。支出増だと捉えたとしても価値があると判断した」と目的を説明する。

「運用監視が必要」

 12月から2月にかけては非常勤向けに説明会や個別面接会が実施された。

 50代の女性職員は交通手当が新設された分、給与が微増する見込みだが「不安だらけ」と表情を曇らせる。「仕事の責任の所在はどうなるのか。不明点が多い。今は所属の移行を急がされている印象。市としても走りだしてみないと見えない部分が多いと思う」と語った。

 30代の女性職員は「善しあしは判断しづらいが、働き方の選択肢が増えることにつながればいい。民間の柔軟性が役所の閉塞(へいそく)感を和らげてくれるかもしれない」と今後の行方を注視する。

 自治労連沖縄県事務所の長尾健治代表は「民間委託すべてを否定するわけではないが、全国的にも民間になじまなかった例がある」と警鐘を鳴らす。「図書館など教育的側面が強い施設は収益性が求めにくく民間に向かない。業者撤退など運営がつまずいて不利益を被るのは市民であり、制度の運用を監視し続ける必要がある」と指摘した。