いい母親の定義って何だったろうか。明日のご飯を確保する、必要以上に子供に依存しない。の二つだけを頼りに子育てをしてきた身としては、本作の母親の強烈な個性に圧倒される。

母との約束、250通の手紙

 思い込みが激しく負けん気の強いシングルマザーのニーナ。息子自慢が激しすぎて町中の笑いもの。息子のロマンはひとかどの人生を送り、末は大作家になるのだと誰はばかることなく吹聴して回る。

 そんな母親が実在したら子供はプレッシャーで壊れ、毒親と呼ばれるのがおちだが、でもこれは実際に世界的作家になったロマン・ガリの自伝の映画化。母親の期待に応えたい思いと、あらがいたい衝動との葛藤に苦悩するロマンが切ない。

 “私の人生に、あなたがいてくれてよかった”と思ってもらえれば子育てはおおむね成功、かな。(スターシアターズ・榮慶子)

 ◇プラザハウスで上映中