希少性の高い優良種雄牛「安福久(やすふくひさ)」の血統として出荷された和牛から登録と異なる血統が確認された問題で、沖縄県は13日、久米島町の家畜人工授精師(48)が交配を手掛けた牛の遺伝子(DNA)検査で10件の血統違いがあったと明らかにした。県は不一致の発覚が多数出たことを問題視し、この授精師が資格を取得してから11年間で交配した全頭の追跡調査も検討している。ほかの授精師が手掛けた人工交配でも4件の不一致が見つかり、現時点で計14件に上っている。

優良牛の血統不一致問題で謝罪するJAおきなわの普天間朝重理事長(手前から2人目)ら=13日、那覇市壺川・JA会館(下地広也撮影)

 この授精師は、一般的に21日間とされる発情期間に、異なる種雄牛の精液を使用してはいけないとの規定に反して種付けを繰り返した結果、異なる血統の子牛が市場に出荷された。

 JAおきなわは昨年6月以降、相次いで発覚したDNA不一致を故意ではなく「作業ミス」と判断。購買者や農家に公表せず、通常通り競りを続けてきた。

 普天間朝重理事長は13日、緊急会見を開き「率直におわび申し上げる。誠に申し訳ない」と謝罪。授精師を管理する県に、指導の徹底とすべての県産黒毛和牛へのDNA鑑定を要請する考えを示した。

 県は2月23日にこの授精師の自宅に立ち入り検査し、作業記録となる家畜人工授精簿で、不備を多数確認。家畜改良増殖法に基づき、行政指導した。

 JAおきなわなどによると、久米島町内では、ほかの2人の授精師が手掛けた人工交配でもDNAの不一致が確認されたという。

 県は、他の地域でも同様の事例がないかを調べるため、県内286人の家畜人工授精師を対象に立ち入り検査を実施する方針だ。

 玉城デニー知事は、13日の記者会見で「肉用牛の子牛産地としての信頼を損ねる極めて重大な事案と認識している」と述べ、再発防止策の策定を指示した。