社説

社説 [パンデミックと五輪] 延期も視野に対応急げ

2020年3月14日 09:04

 感染が世界的に広がり、早期終息が見通せなくなった。

 新型コロナウイルス感染症について世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的大流行)」と表明したのは、各国間で対応に濃淡があることへの危機感からだ。

 WHOは表明の理由について「感染の速さと規模の大きさ」「度重なる警告にもかかわらず、制御に必要な政府の関与がみられない一部の国への懸念」の二つを挙げた。全ての国に深刻な現状と取り組みの強化を訴えた形である。

 拡大防止策だけでなく、社会的・経済的な影響の緩和や、発症者の治療といった対症療法にも力を入れるよう求めている。

 WHOは「中国以外では過去2週間で感染者数が13倍、国の数は3倍になった」と世界規模になったことを強調。感染は中国やイタリア、韓国、イランなどから他国に拡大している。

 WHOは1月30日に最高レベルの警告「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したが、その前の協議では「時期尚早」として見送った。中国に配慮したのではとの批判がある。その後2月28日になって世界全体の危険性評価を中国と同じ「非常に高い」に引き上げた。

 一連の認定は遅すぎると言わざるを得ない。もっと早ければ、予防を含めた対策が取れた可能性があるからだ。

 パンデミックで、もはや一感染国だけの問題ではなくなった。WHOが国際社会を束ね「人類共通の脅威」に立ち向かわなければならない。

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 東京五輪・パラリンピックが予定通り開催できるか懸念する声が高まっている。

 WHOが表明した翌日には採火式がギリシャ西部のオリンピア遺跡で行われ、聖火リレーが始まった。式典は感染防止のため無観客で行われる異例の事態である。

 政府は開催の方針を堅持している。大会組織委員会や東京都と連携し、開催の最終決定権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)へ中止や延期の回避に向けた働き掛けに全力を挙げる考えだ。

 だが、ここに来てトランプ米大統領が「1年延期すべきかもしれない」との考えを表明。IOCの最古参委員も開催是非の判断は5月下旬との見方をし、組織委の理事の一人も2年後の開催が現実的との考えを示している。

 政府、東京都、組織委は、大会が延期になった場合の「プランB」を検討すべき時期ではないだろうか。

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 選抜高校野球の中止、プロ野球が開幕をずらし、サッカーJリーグも中断期間をさらに延長した。大相撲春場所は無観客開催だ。米国でもプロバスケットボール(NBA)が全試合を中断。カナダでのフィギュアスケート世界選手権も中止になった。

 日本が終息したとしても、感染国の選手が入国できない可能性や、選手村がクラスター(感染者の集団)の発生源になりかねない懸念がある。

 大会を目指して精進を続けてきた選手のことを考えるとやりきれないが、具体的な検討を始めなければ混乱を招くばかりではないだろうか。

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