社説

社説 [どうなる東京五輪] 現実味を増す開催延期

2020年3月18日 08:31

 開催か、延期か、中止か。東京五輪・パラリンピックが岐路に立たされている。

 新型コロナウイルスは世界で拡大し続け、世界保健機関(WHO)によると17日現在、感染者は152カ国・地域で17万人以上、死者は7千人超に上る。

 7月24日の開幕まで4カ月余りに迫る中、五輪開催の行方にいよいよ注目が集まっている。

 16日、先進7カ国(G7)の首脳が初めて開いた緊急テレビ電話会議で、安倍晋三首相は「(五輪は)完全な形での開催を目指したい」と発言した。

 菅義偉官房長官は「今まで通りの大会を開催したいということだ」と補足し、会議の中で、延期すべきだとの意見はなかったと説明した。

 ただ、開催のハードルは日増しに高まっている。

 五輪出場選手を決める予選大会が世界各地で中止や延期に追い込まれている。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は出場選手が55%しか決まっていないことを明らかにした。

 米疾病対策センター(CDC)は16日、今後8週間、50人以上が集まるイベントを中止か延期するよう要請し、さらに影響が広がりそうだ。

 トランプ米大統領は「1年延期すべきだ」と発言。大会組織委員会の高橋治之理事は「2年後が現実的な選択肢」との考えを示した。

 政府・与党、経済界にも延期の空気が広まりつつある。

 朝日新聞の世論調査では、「五輪をどのようにするのがよいか」の質問に63%が「延期する」と答えた。

 感染拡大に歯止めがかからない中、延期の声は徐々に高まり、現実味を増している。

■    ■

 予定通りの開催となれば、世界規模で人の移動が活発になる。1万人以上が過ごす選手村にクラスター(集団感染)が発生する可能性もあり、感染拡大のリスクは高まる。

 中止となれば、これまで切磋琢磨(せっさたくま)してきた選手の無念さは計り知れない。世界中のスポーツファンの落胆も大きい。準備のためにこれまでかけてきた時間や1兆円超の経費も無駄になる。

 延期となっても課題は山積だ。来年は陸上と水泳の世界選手権が予定されており、2年後はサッカーのワールドカップがある。その他の大会も含め、開催時期や放送権などを巡り、難しい調整が必要になる。

 大会関係施設の再確保ができるのか。ボランティアはどうするのか。すでに内定している選手の選考をやり直すのか。課題は多方面に及ぶ。

■    ■

 26日に福島県から聖火リレーが出発し、いよいよ五輪へ向けた具体的なスケジュールが動きだす。開催の可否を決断する時期に来ている。

 最終的に決定権を持つのはIOCだ。巨額のテレビ放映権料やスポンサー料が運営を支えるIOCは、商業主義的との批判も絶えない。

 平和な社会や人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てる。IOCにはオリンピックの本来の目的に立ち返り、適切な判断をしてほしい。

連載・コラム
きょうのお天気