基地跡地の北谷町上勢頭の宅地から、ダイオキシンを含む廃棄物が見つかった問題で、町は来年度予算案に約5400万円の買い取り費を計上した。基地の提供責任者である国が補償する見通しが立たないまま、自治体が負担を負うという不合理な事態となっている。

 米軍嘉手納基地の一部として、1996年に返された土地は大半が町有地。町は区画整理を進め、公共工事で立ち退きが必要となった住民の代替地として、土地を等価交換(売買)していた。

 町の事業に協力して宅地を購入した地主が、2011年に住居建設のため掘削した際、強い異臭がして地中から木片などの生活ごみが見つかり、工事は中断した。一帯は返還前、米軍関係者のごみ捨て場だった。地中約6メートルの土壌から発見されたという。

 沖縄防衛局の調査では、検査値は環境基準内で「安全性が確認された」と発表した。5年後の16年のことだ。

 補償を巡り地主と町、防衛局で協議が続き、地主は借家住まいを余儀なくされた。町は、国や町の調査で長期間土地を使用できなかったことから緊急的、例外的な措置として購入に踏み切る考えだ。

 町民救済の立場から町が買い取りを提案しているのはやむを得ない面もある。

 だが、本来問われるべきは、環境への配慮を欠いたまま使用を続けた米軍と、返還に際して十分な調査をしなかった国にある。

 廃棄物は、今も宅地の地中に残されたままだ。町が買い取った後の用途は決まっていない。 

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 12年4月に施行された跡地利用特措法は、米軍に起因する土壌汚染や不発弾、廃棄物などについて、国の責任による「支障除去」後、地権者に引き渡すことを定めている。

 しかし、今回のケースのような12年以前の返還地には適用されない。汚染された土地の責任を誰が負うのか、法の空白ともいえる状況だ。

 北谷町の基地跡地からは02~03年にかけ、タール状の汚泥が入ったドラム缶187本が見つかり、高濃度の鉛、六価クロムも検出された。1987年に返還されて整備された沖縄市のサッカー場からは、13年にダイオキシンやPCBなど有害物質を含んだドラム缶が108本発見され、地域住民に不安を与えた。

 復帰後、ほとんどの基地返還は土壌調査がされていない。汚染を放置したままの返還が、県民生活に影を落とすケースは後を絶たない。

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 日米地位協定4条1項は、返還時に、米国は原状回復、補償する義務は負わないと規定する。 

 県は地位協定の見直しで、返還前に米軍の活動で生じた環境汚染について、日米共同で調査し、原状回復と負担費用は、両政府で協議することを求めている。

 北谷町の汚染地買い取りにより、国の責任が不問となるのは許されない。

 日米地位協定の改定、あるいは、跡地利用特措法の改正で、環境浄化と費用負担の明確なルールを定めるべきだ。