[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1226)

DOHaD(ドーハッド)

 DOHaD(ドーハッド)という言葉を耳にしたことはありますか? Developmental Origins of Health and Diseaseの頭文字で、直訳すると「健康および病気の成長発達起源」ですが、まだ適切な和訳がなく本邦でもDOHaDのまま記載されていることが多いです。要は「おなかにいる時および出生早期の成長発達が、その後の健康と病気の発生リスクに影響を与える」という考え方です。

 第2次大戦中にナチスドイツによる経済的封鎖によりオランダの一部が極度の飢饉(ききん)に陥りました。そしておなかの中でひどい低栄養状態で育った子供たちが成人すると肥満や心臓疾患、腎臓疾患のリスクが高まることが報告されました。さらに1980年後半、イギリスのバーカー先生が低出生体重児で将来メタボリック症候群になるリスクが高いことを報告し、成人の病気の発生と出生時の体重の間には関係があるのではないかと唱えました(バーカー仮説)。

 その後膨大なデータの蓄積、研究もあり現在では一つの学問として確立しつつあります。例えば妊婦の低栄養だけではなく、肥満や糖尿病を合併した妊婦から出生した過体重児は成人後に心血管疾患や糖尿病などのリスクが高くなるという報告があります。