【南城】市佐敷の西平向徳さん(93)は14年前に妻の千代子さんを亡くしたことをきっかけに始めたラン栽培に凝っている。県内展覧会で次々と入賞。自らスマートフォンを操作して種をインターネットで購入し、栽培のこつまで調べて周囲を驚かせる。心の穴を埋めたランに「大きく咲くと心穏やかになる。子育てのような喜び」と笑顔で魅力を語る。(南部報道部・松田興平)

自慢のランをスマートフォンの待ち受け画面にしている西平向徳さん=10日、南城市佐敷

 定年退職後、愛妻とともに農業にいそしんでいたが、先立たれてしまった。その落ち込みように家族は心配していた。生活に張りを取り戻すためラン栽培とバイオリンを始めた。

 両方のめり込み、持ち前の探求心でいろいろ調べ始めた。その後、県蘭協会に入会して県内展示会に出品。2008年の全沖縄らん展示会での新人賞をはじめ、これまで各展覧会で入賞を重ねてきた。

 当初は庭で約500株育てていた。栽培の上達とともに株を絞り込んで現在は約200株と向き合う。

 「水が欲しいのか、肥料が欲しいのか。花が何を欲しているのか分かってきて、きれいに咲くようになった。子どもと接しているような気分」と西平さん。

 成長した「わが子」たちを自身のスマホで撮影して待ち受け画面に設定している。

 同協会会長の小波津正雄さん(71)は「最高齢の会員だが愛好家歴としては若手。自分で調べるから上達が早い。うちのホープ」と感心する。

 全国大会で入賞経験がある名嘉義明さん(68)も尊敬の念を抱く。ユーモアあふれる会話で交流の輪を広げていく西平さんを「人生の見本」とたたえる。

 仲間たちは西平さんに、同協会表彰式でのバイオリン演奏や100歳での全国入賞を期待する。

 本人は「100歳まで体が持つかなぁ。演奏はまだまだ聴かせられるほどの腕前じゃない」とはにかんだ。