大弦小弦

[大弦小弦]声なき叫びは届かないのか

2020年3月20日 09:05

 沖縄タイムス東京支社の近所にある真新しいモダンな建物。今の時期は夜遅くまでこうこうと部屋の明かりがともる。職員が残業に追われているのだろう。東京国税局のビルの風景だ

▼昼間は確定申告に訪れる人たちでごった返す。納税という国民の義務を果たす。そんな当たり前の規範意識でさえ揺らぎそうになる。税金を集める財務省の高級官僚の醜態が白日の下にさらされてしまうと

▼「すべて佐川局長の指示です」。学校法人「森友学園」の国有地売却を巡る決裁文書改ざんを強いられ、自殺した近畿財務局の赤木俊夫さんの遺書。改ざんの経緯が詳細に、そして佐川宣寿元国税庁長官をはじめ実名で記されている

▼「最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ」。震える手で書かれた文字。無念さは察するに余りある

▼これだけの新事実が明るみに出てもなお、安倍晋三首相は再調査の必要性を拒む。「検察で既に捜査を行い、結果が出ている」。前代未聞の不祥事を起こしながら、誰もまともに責任を負わない

▼深夜になっても照明が消えない室内では、膨大な確定申告の書類と向き合いながら現場の職員が黙々と作業しているだろう。上からの命令に苦しみ、絶命した赤木さん。その声なき叫びを歯牙にもかけない為政者の姿は、職員たちの目にどう映るだろうか。(西江昭吾)

 
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