戦慄(せんりつ)を覚えた。オウム真理教が1995年に起こした地下鉄サリン事件。東京都心部の地下鉄で猛毒のサリンがまき散らされた

▼6千人以上が重軽症を負った。その1人の浅川幸子さんが今月56歳で亡くなった。死者は14人目。勤務先の研修のため、普段は利用しない地下鉄線を利用し被害に遭った。25年を経て、サリン中毒による低酸素脳症だった

▼麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚=執行時(63)=が率いた教団。教義で殺人を肯定し、武装化を進めていた。坂本堤弁護士一家殺害や松本サリン事件などを相次いで起こした。松本元死刑囚は、教団への強制捜査阻止を狙い、都心での凶行を指示したという。その身勝手さに強い憤りを覚える

▼20年以上続いた一連の裁判では約190人が起訴され、13人に死刑が言い渡された。中枢に将来性ある高学歴の若者らがいたことも世間を震撼(しんかん)させた。若者らを絶対的支配下に置いた松本元死刑囚だったが、裁判で事件の詳細を語ることはなかった

▼教団の後継団体が三つに分かれて存在。計約1650人が活動、信者の勧誘にも当たる。最大の団体は賠償金支払いを滞らせ訴訟にもなっている

▼四半世紀がたつが、なお後遺症に苦しむ多くの人々がいる。事件を知らない若い世代が増えた今、社会として風化させないことが犠牲者に報いる道である。(内間健)