旗振り役の足元で雇用が進んでいない実態が浮き彫りになった。

 全国の自治体を対象とした共同通信のアンケートで、首長部局に知的、精神障がい者を一人も雇用していない自治体が全体の41%に及んだことが明らかになった。さらに一般職員の応募条件から、知的または精神障がい者を除外する「門前払い」も13%に上った。

 沖縄は回答した38市町村のうち11市町村で17人の雇用があっただけ。8市町村は募集から除外していた。

 精神障がい者の雇用を義務付ける改正障害者雇用促進法が2013年に国会で成立した際、就労を通じた社会参加に大きな期待が集まったことを思いだす。

 18年の障がい者雇用水増し問題後、大量採用が進められたが、依然として多くの自治体で知的、精神障がい者が排除されていたということになる。

 障がいのある人が地域で自立した生活を送るには、経済的基盤が重要となる。そのスタートラインにさえ立たせてもらえないのはあまりに理不尽だ。

 知的、精神障がい者を除外する理由で多かったのは「本人に見合った仕事がない」「サポートの仕方が分からない」だった。

 仕事がないというが、特性に合った仕事を生み出す努力は尽くされているのか。支援方法が分からないというのはは、経験がなく態勢づくりができていない言い訳にしか聞こえない。

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 19年6月1日時点で民間企業で働く障がい者は過去最多の約56万人。国は約7500人、都道府県は約9千人、市町村は約2万9千人で、いずれも前年を上回った。

 ところが障がい種別では、身体が民間企業で6割以上、自治体で8割以上を占め偏りが顕著だ。知的、精神は少数派で、多様な人材が活躍できる職場づくりが進んでいるとは言い難い。

 確かに精神疾患は症状に個人差や体調の波があり、中には長時間の勤務や他人とのコミュニケーションが苦手な人もいる。

 ただ精神障がい者雇用に積極的な企業では、サポート専門部署を設置したり、有給の通院休暇制度を導入するなど工夫を凝らして、能力を引き出している。

 同様に専属サポート役を採用している自治体もあり、それら成功例を参考に職場環境の整備を進めるべきだ。

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 仕事では使えないという「重度訪問介護」サービスの課題が表面化したのは、昨夏の参院選で重い障がいのある国会議員2人の誕生がきっかけだった。

 重度訪問介護の問題も、自治体の一部がいまだに知的、精神障がい者を排除している問題も底の部分でつながっている。

 「二重の差別」になる募集除外はすぐにも改めるべきだ。

 自治体が果たすべきは、民間企業に率先垂範して障がいのある人を雇い入れ、丁寧な支援で職場定着をはかることだ。