社説

社説[万国津梁会議が提言]辺野古に代わる選択を

2020年3月27日 07:00

 新基地建設計画の行き詰まりを明らかにし、政策転換を強く求める提言である。

 県内外の有識者で構成する「米軍基地問題に関する万国津梁会議」(柳沢協二委員長、委員7人)は、4回にわたる討議の結果をまとめ、「在沖米軍基地の整理・縮小についての提言」を玉城デニー知事に手渡した。

 新基地建設を巡る政府の主張に逐一、丁寧に反論し、論理とデータを積み重ねて計画の行き詰まりをあぶりだしている。

 提言は、新基地建設計画が「政治・軍事・財政・環境といったさまざまな点からその妥当性と実現可能性が疑わしく、『唯一の解決策』ではないことは明らか」だと指摘し、「工事をこれ以上、続行すべきではない」と強調している。

 最も重要な部分は、「日本政府は本来の目的である普天間飛行場の速やかな危険性除去と運用停止を可能にする方策を早急に具体化すべきである」と、政策転換を求めている点だ。

 軟弱地盤の改良工事によって工期が大幅に延び、新基地の提供完了までに今後最低でも12年間かかることが発表されている。にもかかわらず、政府は破綻した計画にしがみつく。

 普天間の危険性除去は、いつの間にか忘れられ、新基地建設が自己目的化してしまっているのである。原点に立ち戻る取り組みが必要だ。

 提言が広く全国で読まれ、現状認識が共有され、政策転換を促す動きが各地で生まれることを期待したい。

■    ■

 もう一つのポイントは、在沖米軍兵力の分散を主張している点だ。

 中国のミサイル能力の向上で在沖米軍基地の脆弱(ぜいじゃく)性が問題になっている。

 海兵隊は兵力の分散化、小規模化を重視した新たな作戦構想を打ち出している。

 沖縄を取り巻く安全保障環境が変わりつつあるのは間違いない。米海兵隊は、中国の海洋進出に対抗するため、大がかりな部隊再編を計画しており、沖縄の機能強化につながる恐れがある。

 提言は「在沖米軍兵力を日本本土を含むアジア太平洋各地に分散しながら、在沖米軍基地の整理縮小を加速させる」ことを求めている。

 部隊の分散化は、海兵隊の駐留の在り方を見直すことでもある。

 かつて外務省で普天間の返還計画にかかわった田中均氏も「有事来援の体制を含め抜本的な整理・統合・縮小を米側と検討すべきだろう」と指摘する(『見えない戦争』)。

■    ■

 世論が少しずつ変化していることは確かだ。

 新基地建設計画が「一日も早い危険性除去」という当初の目的を実現できず、破綻したという認識は県外でも広がりつつある。

 提言を受け取った県が、これをどのように扱うか。

 引き出しにしまったまま、ということにはならないだろうが、有識者の提言を生かすには、さまざまな工夫や試みが必要だ。

 これから試されるのは県のやる気である。

 

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