那覇空港の新しい滑走路の運用が始まった。

 新型コロナウイルスの影響で、観光客が激減する中、視界不良のスタートとなったが、終息後を見据えながら沖縄観光や経済振興に寄与することを期待したい。

 全長2700メートルの第2滑走路の増設で、年間を通じて安定的に運用できる発着回数は現在の1・8倍の約24万回まで拡大する。

 空港機能の強化で定時運航や混雑が解消され、人やモノの動きが活発化することにもつながる。

 滑走路の増設は、島しょ県沖縄が30年以上にわたって求めてきた悲願でもあり、観光業だけでなく、物流、離島振興にも期待がかかる。

 県は成長著しいアジアの活力を取り入れ、観光・経済振興を推進する戦略を掲げる。観光施策では、2021年度までに観光客数1200万人を目標としており、そのためには国内外の路線拡充が不可欠となる。

 新型コロナの影響で観光客数が激減し、沖縄観光は正念場に立たされているが、観光振興の原動力となるインフラを最大限に生かす準備は進めておかなければならない。

 玉城デニー知事は「世界水準の拠点空港を目指す」と第2滑走路の有効利用を挙げる。

 海外だけに頼らない誘客策や観光コンテンツの創出、2次交通の整備、受け入れ態勢の強化など、観光施策の点検や見直し、新たな戦略が必要だろう。 

 逆風をどう乗り越えていくか。真価が問われるときだ。

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 好調に推移してきた沖縄観光がここにきて、人・モノの流れが停滞、遮断され、県経済全体も打撃を受けている。

 沖縄と海外を結ぶ路線は週230便がすべて運休になる異例の事態となった。那覇空港を拠点にアジアの主要都市へ展開する「沖縄貨物ハブネットワーク」の全便も4月から運休が決まり、マイナス要因が重なる。

 観光産業は外部要因の影響を受けやすく、一度落ち込んだ需要や路線を回復するのは容易ではない。

 滑走路の運用開始後の新たな路線拡充の見通しは立っておらず、今後は綿密な増便計画を示すことが求められる。

 観光産業を守るための財政支援に加え、航空各社の動向や情報収集、知事のトップセールスなどによる成長戦略も必要だ。

 この危機を持続可能な観光産業をどう構築するか模索する契機にすべきだろう。

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 滑走路の増設で定時運航が期待される一方、「軍民共用」の課題は残されたままだ。

 自衛隊機による緊急発進(スクランブル)も急増しており、過去には空自機のパンクで滑走路が閉鎖されるトラブルも起きている。

 米軍普天間飛行場の返還条件として、民間空港の使用が明らかになっており、那覇空港が想定されている。

 だが、米軍の受け入れは滑走路増設の目的と矛盾するものだ。 

 アジアの拠点となる世界水準の空港は、こうした課題の解消なしには実現できない。