街角のパン屋さんとして地域で親しまれている沖縄市上地のパン屋「ちっちゃなパン屋ベルーガ」が今月31日で25年の営業に店を閉じることになった。使用する機器が老朽化し後継者がいないことから閉店を決めた。常連客や地域住民、学童クラブなどから「おいしく優しい味のパンをありがとう」と閉店を惜しむ声が上がっている。

31日で店を閉じるパン屋ベルーガの山内恵子さん(前列右から2番目)と盛正さん(後列右端)と常連客=19日、沖縄市上地

 ベルーガは1995年開店。店を営むのは山内盛正さん(56)、恵子さん(54)夫婦。地域の人々においしいパンを提供したいと店を始めた恵子さんの父・亀谷勇さん(享年69歳)の志を継いだ。

 イルカが大好きで白イルカを意味するベルーガから名前を取ったという。開店時は会社員だった娘婿の山内さんに「手に技術があれば食いっぱぐれない」と誘いがあり、盛正さんもパン職人になった。

 勇さんは2006年に病気で他界。店は盛正さんの手に委ねられた。幸い勇さんがパン作りの材料の配合表(レシピ)を丁寧にまとめたノートがあったため、ノートを参考に精魂を傾け、義父に負けないパン作りをした。

 添加物を加えない変わらぬ味と、来客との会話好きな恵子さんの人柄は店の評判を高めた。遠くは恩納村、うるま市那覇市などから足を運ぶ常連客も多く「ベルーガのパンは空を飛ぶ」との別名があるという。

 盛正さん、恵子さんは「父の代から地域の人々や市内外のお客さんにお世話になった。長年パンを焼いてくれた釜にもご苦労さまと声を掛けたい」と25年を振り返った。(翁長良勝通信員)