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米軍基地の存在は矛盾だらけ 「沖縄の実態示し全国的議論を」 国内法の適用目指す新垣勉・元沖縄弁護士会長

2020年4月6日 14:30

[骨抜きの主権国家 日米地位協定60年](27)

沖縄弁護士会の地位協定改正案の意義を語る、新垣勉弁護士=沖縄市・コザ法律事務所

 「本改正案は日米安保条約の存在を前提として、現行日米地位協定の構造的欠陥、不合理性、不平等性を抜本的に見直すものである」

 2003年12月。沖縄弁護士会は、当時会長を務めていた新垣勉弁護士を中心にまとめた、日米地位協定の改正案を発表した。

 現行の協定が定める28条に新たな条項を加え、38条で構成。米軍に日本国内法の適用や、順守義務を課した。

 弁護士会として改正案づくりに着手した背景には、自民党や社民党など超党派国会議員による独自の改正案があった。

 新垣氏は政権与党の自民が加わった改正案の意義を認める一方で、米軍への国内法の適用を除外する原則が変わっていない点に危機感を覚え、弁護士会として独自案の取りまとめに取り掛かった。

 「最も重視したのは国内法の適用。それが基本だった」と新垣氏。沖縄弁護士会の案は2条1項に「合衆国軍隊は日本の法令の適用を受け、順守するものとする」と明記。同条2項では、現行16条で「日本において日本の法令を尊重」としていた表現を「順守」に強めた。

 基地の提供では10年を限度にした施設提供の更新を設け、更新の際に協定の順守状況などを日米合同委員会が協議するなど、米軍側にとって厳しい内容とした。

 米軍関係者の事件、事故で問題となる起訴前の身柄引き渡しでは、被疑段階から日本の拘禁施設での拘禁を明記。同時に、日米が共同で拘置状況を視察し弁護士の立ち会い権を認めるなど、被疑者の権利改善も意識した。新垣氏は「日米双方が公平、合理的だと受け止められる内容にすることが大事だと考えた」と説明する。

 新垣氏は案の発表後、04年4月に発足した「日米地位協定改定を実現するNGO」の立ち上げに関わった。沖縄弁護士会、連合沖縄、高教組、米軍人・軍属による事件被害者の会の代表や経済人など県内各界で構成する会は、現在でも改定を訴える運動を続けている。

 実は、米軍基地に反対する市民から「日米安保体制を前提とした地位協定を改正することは、基地の存在を認めることになる」と否定的な反応も少なくなかったという。

 新垣氏は「地位協定の問題を掘り下げることで、米軍基地が矛盾だらけの存在という実態が明らかになる。そうなれば必ず『基地はないほうがいい』となる」と改定の意義を強調し、全国的な議論の必要性を訴えている。

(社会部・銘苅一哲)=日~火曜日に掲載

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